国営諫早湾干拓事業(長崎県)を巡り、国が漁業者を相手取って潮受け堤防排水門の開門を強制しないよう求めた訴訟の上告審判決が13日、最高裁第2小法廷であった。菅野博之裁判長は、開門を強制できないとして国勝訴とした2審・福岡高裁判決を破棄し、審理を同高裁に差し戻した。
同事業では、1997年の堤防閉め切り以来、開門を求める漁業者と開門に反対する営農者がそれぞれ国を相手に訴訟を起こし、「開門」と「開門せず」の相反する司法判断が並び立つ「ねじれ状態」となっている。この日の判決は、司法判断が「開門せず」に統一されるかが焦点だったが、審理が差し戻されたため、法廷闘争はさらに長期化する見通し。
今回の訴訟は、2010年12月にいったん確定した開門命令について、確定判決後に事情が変わったとして、国が14年1月、「無効化」を求めて起こした。
同年12月の1審・佐賀地裁は「無効化する事情はない」として国敗訴とした。一方、昨年7月の2審判決は、漁業者が開門を求めた当時の漁業権の免許が切れ、「開門を請求する権利も失われた」と判断し、国に逆転勝訴を言い渡したため、漁業者側が上告していた。
国は、確定した開門命令に基づき、開門まで漁業者らに1日90万円の制裁金を支払う義務を負っており、これまでに支払った総額は10億円以上となっている。
2019-09-13 06:18:00Z
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