世界中で猛威をふるう新型コロナウイルスのため、筆者が勤務する京都大学でも新学期は1ヵ月の休講から始まった。しかし、こんな時こそ部屋に籠もって科学の古典をじっくり読んでみたい。
『大陸と海洋の起源』は世界で初めて「大陸移動説」を提唱した地球科学の古典で、後に「地球科学の革命」の起爆剤となった書物である。
今回、ブルーバックスでの復刊に際して、40年ほど地球科学を研究してきた筆者は30ページに及ぶ解説を書いた。ここでは本書のさわりと意義について紹介したい。なお、解説では9点の図版を用いて分かりやすく説明したので、ご覧いただきたい(こんなに多く図を出してくれた編集部に感謝!)。
最初に、大陸移動とは何かから説明しよう。
「大陸移動説」の誕生
世界地図を広げると地球に関して様々なことが読みとれる。まずブラジル東部の凸部が、アフリカ西部の凹部と合うように見える。同様に南アメリカ東部とアフリカ西部の海岸の組み合わせが、ジグソーパズルにでもなっているかのようだ。
ドイツの地球物理学者アルフレッド・ウェゲナー(Alfred Wegener,1880~1930;ドイツ語読みではアルフレート・ヴェーゲナー)は、この現象に対して科学的に着目した。
大陸の縁がおおよそ合うことだけでなく、北アメリカ東部のアパラチア山脈が、大西洋を越えてスコットランドやスカンジナヴィア半島につながることに気づいたのだ。
また、ヨーロッパ大陸とアメリカ大陸に産する約2億年前より古い化石には、よく似たものがある。ウェゲナーは、その時期以降の化石には類似性がないことも明らかにした。
すなわち、2億年前に想像もできないような大異変が起きたというわけである。そして、現在の大陸は、かつての超大陸だったものが今でも漂っている部分なのだと、彼は大胆にも主張した。
もともとあった巨大な超大陸が分離して、それぞれが現在見られる5つの大陸になったという「大陸移動説」の提唱である。ウェゲナーは自らの想定した超大陸をパンゲア(Pangea)と命名し、こうした画期的な考えを本書『大陸と大洋の起源』に著した。
学界の異端児、ウェゲナー
1915年に本書が刊行されるや否や、大きな論争が巻き起こった。ウェゲナーのアイデアはあまりも斬新であったため、到底受け入れられるものではなかった。というのは、当時の主要な学説と権威を真っ向から否定するものだったからだ(拙著『世界がわかる理系の名著』文春新書を参照)。
ウェゲナーは大陸移動説に反論を受けるたびに、新しいデータと議論を加筆し精力的に改訂した。亡くなるまでに第4版まで刊行したことからも、いかに彼がこの大胆な仮説を世に出そうと努力したかがうかがわれる(今回の翻訳は第4版からである)。
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April 26, 2020 at 04:11AM
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非常時こそ古典に挑め!『大陸と海洋の起源』の価値とは?(鎌田 浩毅) - 現代ビジネス
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