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Sunday, June 7, 2020

勝手にジュネーブモーターショー2020──まずはじめに - GQ JAPAN

会場のパレクスポに掲示されていた今年のジュネーブショーのポスター。なんとなく「SOS」の文字がデザインされているように見えるのは気のせいだろうか。

ロシア上空を飛んでいる間にジュネーブショー中止が決定!

毎年春にスイスで開催されるジュネーブモーターショーは、メーカー間の出展規模に偏りが少なく、スーパーカーやハイパーカー、ラグジュアリーカーのお披露目の場としても知られるイベントだ。

私はショーの取材に合わせて、来年後半に日本に再上陸予定のオペルのテストカーを借り、ジュネーブまで試乗しつつ向かう予定だったので、少し早めの2月28日にフランクフルトへ飛んだ。しかし、現地に到着してスマホの電源を入れると、新型コロナウイルスの感染拡大でジュネーブショー中止のニュースが……。私がロシア上空を飛んでいる間に最悪な状況になっていた。

私は茫然自失となりながら、イラン出身のドライバーが運転するUberで、彼に慰められつつオペル本社へ向かった。最新SUVであるグランドランドXのテストカーを受け取ってホテルへ向かって走り出すと、「前代未聞の"中止になったモーターショー"を見に行こう! 」となぜかポジティブな気持ちになっていた。クルマが良かったからかもしれない。オペル結構良いですよ。

3月2日、私はジュネーブへ向けて出発した。アウトバーン5号線を南下し、スイスとの国境にさしかかる。厳しい検問を予想していたが、クルマを止められることもなく完全スルー。前日の時点でイタリアは1694人、ドイツは117人、スイスも22人の感染者が確認されていたので、「こんなんでホントに大丈夫なの? 」と心配になる。

夕方にジュネーブショーの会場に到着すると、駐車場はガラガラ、車寄せには大型トラックが並び、会場エントランスは無人、展示ホール内は撤収作業の真っ只中で、コンクリートむき出しのフロア一面にバラされた資材が積み上げられている。普段のジュネーブショーとは正反対の、ディストピアのような衝撃的な光景に私は言葉を失った。

撤収作業中の展示ホール。例年の華々しい雰囲気とはまるで対照的な、悲しさに溢れた光景だ。

竹花寿実
モータージャーナリスト
1973年、神奈川県横浜市生まれの47歳。美術大学を卒業後、自動車雑誌や自動車ニュースサイトの制作スタッフを経て、2010年春に渡独。現地でヨーロッパの最新モデルや自動車文化を中心に取材し、2018年夏に帰国。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

Photos 山本佳吾 Keigo Yamamoto(会場風景)

Words 竹花寿実 Toshimi Takehana

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June 07, 2020 at 07:45PM
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