11月3日の米大統領選まで残り約40日となり、与党・共和党の現職トランプ大統領と野党・民主党候補のバイデン前副大統領の両陣営が、空前の訴訟合戦を展開している。双方とも、勝利の鍵を握るとみられる州での票集計ルールについて、自分たちに有利な方向に持って行くのが第一の狙いだ。
今回は新型コロナウイルスのパンデミックという要素があるため、本来なら取り立てて問題にならないはずの投票での署名や消印、郵便投票回収箱(ドロップボックス)の設置方法などで論争が起きた。トランプ氏が根拠を示さないまま郵便投票を批判、集配の遅れにつながりかねない郵政公社(USPS)の経費削減措置を打ち出したことも、訴訟に拍車を掛けている。
ロイターが各州と連邦レベルの裁判記録を調査したところ、22日段階で大統領選挙に関連した係争中の訴訟は200件を超える。また、こうした訴訟を分析しているロヨラ大学法科大学院のジャスティン・レビット教授によると、新型コロナを理由に提起された選挙関連訴訟は少なくとも250件に上る。
パンデミックの影響で、署名義務をはじめとするほんの小さなハードルが、選挙にとって大きな障害になる恐れが出てきている。ニューヨーク大学ブレナン司法センターで選挙権や選挙プログラムを専門に扱うミルナ・ペレス氏は「以前なら投票所にできる長蛇の列は選挙権の侵害や妨害とみなされたが、今は生死にかかわりかねない」と指摘する。
こうした中で民主党は、郵便投票の制限緩和を求めている。実際、有権者が投票所に出向いて感染するリスクを避けたいと考えているため、郵便投票を実施する動きは急拡大している。
バイデン氏陣営の広報担当者は「わが陣営は歴史上最大の有権者保護プログラムを策定し、選挙の円滑な運営を確保するとともに、トランプ氏による民主的なプロセスへの介入の企てに立ち向かう」とコメントした。
一方、共和党は、専門家が郵便投票で不正が発生する事例は極めて少ないと説明しているにもかかわらず、「違法な投票」を阻止すると息巻いている。トランプ氏陣営の顧問弁護士、マシュー・モーガン氏は「民主党は同時に投票するための選挙の仕組みをばらばらにしようとしており、今から11月、そしてそれ以降も、彼らがいかさまを続けることに疑問の余地はない」と述べた。
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