メルカリはこのほど、欧州を中心に広がっている持続可能な消費を促す取り組み「グリーンフライデー」に合わせて11月26日に実施した、家にある活用できていないモノの利活用を促す取り組み「メルカリ グリーンフライデープロジェクト 新作ゼロの『サステナブルファッションショー』のイベントレポートを公開した。
「グリーンフライデー」とは、世界的に大規模セールが行われるブラックフライデー(11月第4金曜日)に代表される過剰消費に対抗し、モノを大切に長く使うなど、地球環境に優しい持続可能な消費を啓蒙する目的で行われている取り組み。先行して取り組みが進む欧州では、ブラックフライデーと同時期に、不要な衣服の交換会やモノを修理して使い続けることを教えるワークショップなどが実施されている。
「メルカリ グリーンフライデープロジェクト」として11月26日に実施した「新作ゼロの『サステナブルファッションショー』」では、家に眠っている洋服を持参した一般参加者に対して、ファッションスタイリストの小山田早織氏、ファッションアドバイザーのMB氏が、自身の不要になった服やフリマアプリ「メルカリ」で購入した服を活用してコーディネートを提案。コーディネートにより息を吹き返した洋服を身にまとった一般参加者がファッションショーを披露した。
自身が手掛けたコーディネートの一例について、小山田早織氏は「お持ちいただいたお洋服は、お母様から譲っていただいたという何十年も前のスカート。大切に長く使っていきたいというご意向を受けて、トレンドを盛り込みすぎず、彼女の持つ女性らしさと品の良さをしっかり打ち出せるように、ベーシックカラーでまとめました。
「メルカリ」で購入した、カルガンラムのジャケットとニットをあわせました。今年はミニスカートやボリュームのあるアウターもトレンドなので、彼女のスタイルの良さを活かし、オーバーコートを着てもあえて身体を隠さないようにスタイリングしました。「サステナブル」が盛り上がり、毛皮のコートなどを着用する機会が減っていますが、すでに製品化されていて「メルカリ」などに出品されているアイテムは、こうして大事に譲り受けていくのも良いことだと感じました」とコメントした。
MB氏は、「デニムとグレーのカットソーをお持ちいただきました。事前に写真を拝見して、きれいめなスタイルを嗜好されているとわかったので、きれいめなスタイルの中で2つのアイテムを活かすべく、「メルカリ」で購入したコートでドレスライクにバランスを取り、インナーとパンツが大人っぽく見えるように、カジュアルに見える面積を減らすようにしました。また、パンツと靴は同じようなトーンで揃えて足長に見えるようにし、スタイルをよりきれいに見せるように意識しています。
コレクションやファッションショーではトレンドを取り入れすぎて、普段使いしにくいことがあります。今回は街で着られるように「普通っぽいけどおしゃれ」な印象に。ただ、スタンダードに寄せすぎても退屈なので、首元にタイダイ柄のダウンマフラーを巻いてアクセントを加えました」とコメントした。
ファッションショーの後には、小山田氏、MB氏に加え、ファッションデザイナーの丸山敬太氏を迎え、「これからのサステナブルな消費のあり方」をテーマとしたトークセッションを開催。
同イベントに先立ちメルカリが10月に実施した調査では、回答者の45.7%が「購入後ほとんど活用できていないモノを保有しており、そのうち58.5%は『洋服』で占められている」ということが分かったという。活用できていないモノを購入する背景には「衝動買い」があり、「購入時は気に入っていた」(54.9%)、「セール(値引き)されていた」(42.4%)などの理由が挙げられていたとし、現在のファッション業界におけるサステナブルの課題、供給過多な洋服を循環させるためにメルカリにできることなどについてセッションを行った。
【トークセッション「これからのサステナブルな消費のあり方」レポート】
”購入後ほとんど活用できていないモノ”の約6割が「洋服」
MB氏:おしゃれの価値はモノだけで決まるのではなく、モノと着こなしの掛け算で構成されると思っています。モノだけで価値を判断するのはもったいない。今回のショーでは、参加者の皆さまが着られなくなったモノを持ってきて、僕らも、誰かが不要に感じて「メルカリ」に出品したモノを使いました。つまり、不要になったモノ同士を掛け合わせて「要るモノ」が出来た。これは、着こなしでモノを蘇らせることができることの証明だと思います。
”着こなしのリテラシー”が高まっていくことで、モノが捨てられずに活かされる土壌が生まれてくるのではないでしょうか。調査結果を見るとまだまだの状況ですが、今回のようなショーに参加してみて、いずれ実現できることだと感じました。この”着こなしのリテラシー”を伝えていくことも、僕の仕事であると思っています。
小山田氏:メンズファッションはレディースファッションに比べて、良いものを大事にする文化が強い印象があります。レディースの場合は、ファッションの楽しみ方の一つとして、洋服を買った時の高揚感を得たくてショッピングをされる方がメンズよりも多くいらっしゃると感じます。でも、店頭で着用した時と、自宅に帰って着用した時とで、「あれ、なにか違う……」となることがありますよね(笑)。
「すごく気に入っているが、一度も着たことがない」という服を持ってこられる方が、こうしたイベント時には必ずいらっしゃいます。「購入後ほとんど活用できていないモノ」の約6割が洋服であるのは、女性の気持ちに寄り添って考えると、仕方がないことかな……とも思ってしまいますね。
丸山氏:僕は、「活用しないモノはだめですか?」と思います。僕自身、お買い物をする時の高揚感が「体験」として財産になっていて、ファッションには、あるイメージや世界に連れて行ってくれる力があると信じているんです。例え1年に1回しか着ない服であっても、それが強烈な思い出として価値を持っているのであれば、それは大切にすべきものだと思います。サイズの問題などで着られなくなったときには、ほかの誰かに体験をシェアしたり、誰かに譲ったりして循環させていくことが、これからのファッションに大事ではないでしょうか。また、「作り手側がどう作るか」もとても大事だと感じています。
現在のファッション業界におけるサステナブルの課題
丸山氏:僕はファッションを生業にしていて、ファッションビジネスを生業にしているわけではないので言ってしまいますが、最も問題だと思っているのが、供給過多。それと、必要以上にモノをよく見せようとする広告です。一時期はマーケティングの時代と言われていましたが、そういう取り組みのツケが回ってきているのではないでしょうか。これからは、「必要な量を必要なだけ、丁寧につくる」という精神のもとに服を作っていければと感じます。それは、高い服であれ、お手頃な価格帯の服であれ同じだと思います。
小山田氏:「サステナブル」は数年前からファッション誌などで注目されていて、今年になってようやく芽が出たと感じます。今年は、ペットボトルの再生素材で作ったシューズやエコバッグなど、おしゃれな商品が登場した年でした。スタイリストとしては、扱いやすい商品が増えてきているので、「サステナブル」というトレンドが長く続いてほしいと思っています。
MB氏:丸山さんと同じく「供給過多」に問題意識を持っていて、僕のオリジナルブランドでは在庫を持たないよう受注生産にしています。ファッションは文化です。文化は人々の生活を豊かにしたり、人生に彩りを与えたりするから成り立つもの。それがもしネガティブな面が強く見えてしまうと、一気に腐ってしまう。だから、文化はどこまでもポジティブなものでなければならないと思います。ただ、ビジネスである以上、誰かが割を食うことになるのも事実です。それを可能な限り削っていくことが重要で、供給の多さをいかに改善していくか、あるいは捨てられている洋服をどのように活用していくかを、もっと考えていかなければなりません。
■供給過多な洋服を循環させるために、メルカリにできること
MB氏:すごく単純な話ですが、商品の利用方法までを提案するべきだと思います。服屋は着こなしを提案するし、デザイナーはルックやイメージを通して服の使い方を提案します。今のネット通販を見ていると、写真を載せるだけのケースがとても多い。そうではなく、どのようなトレンドがあって、どのように着こなせば楽しくて、といったことまでを伝えるべきではないでしょうか。メルカリが着こなしの提案までをすることで、もっと洋服は循環していくと思います。
からの記事と詳細 ( メルカリ、新作ゼロの「サステナブルファッションショー」開催 コーデ提案で不要な服を再活用 - マイナビニュース )
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