ホラーやゾンビをこよなく愛する著名人らにお薦め作品を紹介してもらうリレー連載「今宵も悪夢を」。集まった案内人たちは身の毛もよだつ恐怖、忍び寄るスリル、しびれるほどの刺激がちりばめられたホラー世界へ読者を誘っていく。
第14回は、
文
若者4人が快楽殺人鬼というエンターテイナーに弄ばれる
この作品を監督したのは、ゾンビ好きなら誰もが知っている「ロブ・ゾンビ監督」。映画の話をする前にロブ・ゾンビ監督の補足をすると、彼はヘヴィー・メタル界の大御所ミュージシャンでもあり、映像作品を手掛ける監督でもある。以前までは「ホワイト・ゾンビ」というバンドを結成していた。更に、奥さんの名前は「
ハロウィンの前夜祭、アメリカの田舎をドライブしていた2組のカップル。彼らは給油の途中、サーカスの様な不気味な博物館に立ち寄る。そこで出迎えてくれたのはピエロ姿のキャプテン・スポールディング。ピエロは4人を「マーダー・ライド・ショー」のツアーへと案内する。中に進むと、実際に起きた事件の有名殺人鬼の人形などがお化け屋敷さながらに登場し、ピエロが愉快に説明していく。そこで4人は、伝説的な殺人鬼「ドクター・サタン」の存在を知り博物館を後にする。ここまでが前半の出来事なのだが、明らかにこの後4人が殺人鬼達に出くわすというフラグがビンビンに立っている。先に言っておくが、この映画はよくできたB級作品である。予想できることはしっかり起こってくれる。それを敢えて楽しみながらツッコむのがB級作品の醍醐味だと僕は思う。
その中でもこの作品は、「癖になる」ポイントがいくつかある。1つ目は、カップルたちを追い込む殺人鬼ファミリーが、キャラクターが渋滞するほど個性的でクレイジーであること。漫画から飛び出たような容姿や服を身に纏いながら4人を追い込んでいく。そのぶっ飛んだ思考や会話が面白い。殺害方法も独特で、人魚にされたある人物の姿には思わず吹いてしまった。
2つ目は、サイケデリックな演出だ。画面の色味を不気味にしたり、アナログな画質に変えたりととにかく落ち着かない。でもそれがこの作品をより不気味に仕立て上げる。まるで狂気的な殺人鬼の視点から見ているかのように。
まだポイントはあるのだが、要は4人が快楽殺人鬼というエンターテイナーに弄ばれているショーを僕たちは楽しむことができる。先程、「予想できる」と言ったが、物語後半には予想を裏切る展開が待っている。殺人鬼「ドクター・サタン」の噂の真相はいかに…ポップコーンとコーラを手に、ツッコミながら観て欲しい作品だ。
磯村勇斗(イソムラハヤト)
1992年9月11日生まれ、静岡県出身。特撮ドラマ「仮面ライダーゴースト」のアラン / 仮面ライダーネクロム役、連続ドラマ小説「ひよっこ」でヒロインの夫となる役を演じ脚光を浴びる。近年の主な出演作に映画「今日から俺は!!劇場版」「ヤクザと家族 The Family」「東京リベンジャーズ」「劇場版 きのう何食べた?」、大河ドラマ「青天を衝け」などがある。ドラマ「持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~」が2022年4月19日にTBS系で放送スタート。「ホリック xxxHOLiC」が4月29日、「PLAN 75」が6月17日、映画初主演作「ビリーバーズ」が7月8日、「異動辞令は音楽隊!」が8月26日に公開される。
「マーダー・ライド・ショー」(2003年製作)
ハロウィン前夜、ある田舎町にやって来た若者4人。立ち寄ったガソリンスタンドに併設された、“実在の殺人鬼”を紹介する博物館に面白半分で入ると、オーナーからこの地に伝わる殺人鬼「ドクター・サタン」の話を聞かされる。噂の場所へ向かった彼らは、途中でヒッチハイカーを発見。彼女を送り届けることにしたのだが……。
ミュージシャンであるロブ・ゾンビが監督と音楽を担当。キャストには
「マーダー・ライド・ショー」Blu-ray / DVD販売中
税込価格:Blu-ray 2750円 / DVD 2090円
発売元・販売元:キングレコード
※「マーダー・ライド・ショー」はR15+指定作品
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