東京モーターショーから名称を変え、4年ぶりの開催となったジャパンモビリティショー。会場を訪れると様変わりした様子に驚きます。それは自動車産業が迎えている大きな変革期を象徴しています。
(経済部記者 野口佑輔 小尾洋貴)
注目集めた自動車メーカー各社
会場ではその“主役”の自動車メーカー各社が次世代のEV=電気自動車を披露しました。
トヨタ自動車と日産自動車は、次世代のEVのコンセプトカーを発表。
EV分野で日本メーカーの出遅れが指摘されるなか、デザインだけでなく、航続距離を伸ばすといった性能強化をアピールしました。
海外メーカーでは中国のBYDが初参加。
BMWは日本の会場で世界初公開の実車を展示し、日本市場でEV事業を強化する姿勢を打ち出します。
マツダは伝統のロータリーエンジンの新技術を搭載したコンセプトカーを世界初公開。
エンジンを発電機として活用し、その燃料に水素やバイオ燃料などを使う車です。
ホンダは、GM=ゼネラル・モーターズなどと共同で、3年後の2026年に東京都内の一部のエリアで開始する予定の自動運転タクシーのサービスに使う車両を公開。
運転席のない6人乗りの車両です。
そしてSUBARUは、開発中の空飛ぶ乗り物を披露。
自動車メーカー各社は、かつての東京モーターショーの時代からは想像もできない“進化したモビリティー”を意識した展示に力を入れています。
過去最多475社が参加 その訳は?
これまでの東京モーターショー時代で最も多かった1995年の361社を大きく上回りました。
自動車業界以外の企業にも参加が広がったためです。
その特徴の1つがスタートアップ企業の参加です。
千葉県柏市に本社を置くスタートアップ企業「Turing」は、自社開発した自動運転車の自社生産を目指しています。
センサーなどさまざまな機器を使う自動運転技術の常識を打ち破り、カメラと高度なAIのみで走行を実現しようとしています。
目標は、2028年にハンドルがない完全自動運転車を完成させること、そして2030年に1万台規模を生産・販売することです。
Turing 山本一成CEO
「テスラを超えることを目指していて、ハンドルがない車を皆さんの手元に、世界中の人々の手元に送るというのがこの会社の目標。日本からでも私たちのような聞いたことのない会社が大きくなっていくことが大事だと思っています」
開催期間中に日替わりで90社が参加しています。
主催者の日本自動車工業会は、モビリティーという枠組みの中で、新たな仲間作りを促すことがねらいで、これまでつながりがなかった会社どうしが、つながるきっかけにしてほしいと力を入れたということです。
長野県の企業は、人手不足で悩む田んぼの除草作業を自動で行うロボットを展示しました。
現在は実証実験を続けていて、GPSで自動走行するロボットとして開発を進めています。
北海道の企業が開発するのは、気球の仕組みを使った乗り物で宇宙遊覧を行う技術です。
ことし10月には、1人乗りの機体で成層圏付近の高度10キロ余りの高さまでの有人飛行に成功しているということで、来年夏ごろの商用化を目指しています。
2時間ほどで成層圏に達し、およそ1時間の宇宙遊覧を楽しめるというイメージです。
自動車産業は広がるか
最後は宇宙にまで飛び出しました。
EVシフトに代表されるように、自動車産業は大きな変革期を迎え、関連部品メーカーなどは事業環境の厳しい変化に直面しています。
あらがうことができない世界の大きな流れの中で、大手メーカーも関連企業も必死に乗り越えようとする強い意志を肌で感じました。
その一方で、スタートアップをはじめさまざまな企業が様変わりする自動車産業を大きなチャンスと捉えて、続々と集まる熱量も実感しました。
これからの“主役”はどの企業になるのか、日本経済の活性化につながる動きに期待を寄せます。
(10月25日「ニュース7」などで放送)
経済部記者
野口佑輔
2011年入局
自動車業界を取材
経済部記者
小尾洋貴
2016年入局
岐阜局、静岡局を経て今夏から現所属
浜松ギョーザをこよなく愛する
からの記事と詳細 ( 様変わり モーターショーからモビリティショーへ - nhk.or.jp )
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