愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が中止になった問題で、企画展の実行委は6日、中止に至る経緯の詳しい説明などを求め、芸術祭全体の実行委会長を務める大村秀章知事宛てに公開質問状を提出した。
大村知事が中止理由に挙げたテロ予告のファクスの開示や、抗議電話対策を事前にどう準備し、実際にどう対応したのかなどについても説明を求め、早期の企画展再開を訴えている。
県庁で会見した実行委メンバーは、今回の企画展の基になった「表現の不自由展」を2015年に開いた経験から「抗議は想定内」と説明。電話の録音などさまざまな対策を事前に県側に提案したといい、岡本有佳さんは「殺人予告が届いた途端に記者会見し、刑事告訴を考えていると毅然としていれば状況は違った」と対応を疑問視した。
美術評論家アライ=ヒロユキさんは「大規模な言論テロ。再開は日本の文化の力を示す大きな意義がある」と主張。小倉利丸さんは「公共の図書館にはさまざまな見解の本がある。美術の世界だけ、異常な忖度が比較的容易に通ってきた」と表現の自由を巡る問題点を指摘した。
企画展は、過去に展示が規制された作品を経緯とともに並べ、表現の自由のあり方を考えてもらう目的で開催された。開幕直後から慰安婦を象徴する少女像などの作品への批判が殺到し、県は3日で展示を中止した。県の対応について、大村知事は5日の会見で「行政だからおのずと限界がある。われわれとしては最善を尽くした」と説明していた。
(中日新聞)
2019-08-06 11:42:00Z
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2019080690211219.html
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