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Wednesday, August 19, 2020

[Drone Design]Vol.18 ハード&ソフトで演出の進化が始まるドローンライトショー - DRONE

2020-08-20 掲載

夜空を彩るエンターテインメントの代名詞と言えば花火ですが、LEDを搭載したドローンによる光のエンターテインメント、ドローンライトショーを目にする機会もだんだんと増えてきました。ショーを専業にする企業が増えたことで、ハードとソフトの両方で技術が進化し、数十台から数千台のドローンをプログラミングして、鮮やかな3Dアニメーションを描いたり、ダンサーとコラボレーションしたり、ショーをデザインする演出の幅も広がっています。

Intel「Shooting Star」

Shooting Star mini

最もよく知られているドローンライトショーといえば、Intelの「Shooting Star」でしょう。2018年平昌オリンピックの開会式やハウステンボス、東京モーターショーなど、屋外で大規模なショーが演出できるのが魅力です。2012年に国際メディアアートイベントのアルスエレクトロニカで、50台のドローンをコントロールするプロジェクト「SPAXELS」を披露した時からハードとソフトの両方で技術を進化させ、Intelが創業50周年を迎えた2018年に2018台のドローンによるライトショーを成功させ、ギネス世界記録にも登録されました。

ライトショーに特化されたドローンは屋外用と屋内用があり、どちらもドローン本体の下側にライトが付いているのが特徴です。1台のパソコンでドローンの演出から飛行制御、バッテリーの管理までできるショー・コントローラー・ソフトウェアは、プロのアニメーターとビデオゲームの開発者のノウハウを取り入れています。1回で制御できるドローンの台数が圧倒的に多いためいろいろな見せ方が可能で、さらに台数を増やしてストーリー作品を披露するようになるかもしれません。

Intel Shooting Starシステム

Dronisos

Parrot ANAFI(@Dronisos)

屋内でのドローンショーではDronisosがよく知られています。Parrotと組んで早くからライトショーに取り組んでいて、2016年にCESのブース内でドローンダンスを披露したことで大きく話題になりました。床に書かれたマーカーとセンサーを使って狭い場所でも正確な動きができ、ふわふわと生き物のように飛ぶのが特徴です。屋外でも使えますがライトが正面に付いているので、Shooting Starのように3Dを強調した演出よりもステージから見られることを想定した演出に向いているように見えます。

200 Drones Indoor:New World Record at San GiovanniX3

先日、Parrotと新しく開発したドローンも屋内向けで、サイズの小さい「Parrot ANAFI」をベースにカスタマイズしていて、最大で1000台のドローンを屋内でコントロールできるシステムもあわせて開発しています。今年6月にイタリアのサン・ジョヴァンニで開催されたイベントでは、200台のドローンがダンサーとコラボレーションする演出を披露し、屋内で同時飛行するドローンの数でギネス世界記録に認定されました。

Dronisos

Verity Studios「Lucie」

Lucie

TEDでドローンライトショーを披露したことで知られるスイスのVerity Studiosは、よりアーティスティックな場面でドローンを活用することを目指しています。多目的な屋内用ドローン「Lucie」を独自に開発し、安全で静かな演出ができるように機能を高めています。最新の作品としては、チャン・イーモウ監督による中国の伝統芸能をベースにしたパフォーマンスの舞台があり、66台のLucieを使って吊り下げたビニール袋を鳥のようにあやつってみせる演出で観客を驚かせました。

2047 Apologue:動画
Verity Studios

SKYMAGIC

NYE 2020 DRONE SHOW:動画

シンガポールとイギリスに拠点を持つSKYMAGICは、ドローン単体というよりドローンを一部に取り入れた大規模なショーの演出を得意としています。地上のライトショーや花火とドローンを組み合わせるだけでなく、ドローンに花火を積み込んでパフォーマンスさせることができ、170台以上の花火ドローンを同時に飛ばす演出でギネスの世界記録に登録されました。ドローンは既成品をベースに屋内外の両方で環境と演出にあわせてカスタマイズする技術力を持っています。

SKYMAGIC

まとめ

CES2020ではドローンのショーが簡単にできる製品が複数出展されていた

その他にもドローンライトショーを手掛ける企業には、米国のVERGE AEROやFirefly、深センのEHangらがあり、いずれもパッケージでライトショーを提供しています。アイコン程度のイラストやメッセージであれば、簡単にプログラミングできるショー用もソフトも登場していて、今年1月に開催されたCESではショー用のドローンとソフトをセットで販売するメーカーも複数ありました。ショー用のドローンは新たな市場開拓につながる可能性があり、そこから新しい演出のアイデアが登場することになりそうです。

Ars Electronica/Martin Hieslmair

WRITER PROFILE

野々下裕子
フリーランスジャーナリストとしてデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行う。掲載媒体は「@DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」「マイコミニュース」など多数。現在のドローンをはじめ、モビリティ、ウェアラブル、XR、AI、デジタルヘルス、スタートアップビジネスの世界的動向などのジャンルに注目している。神戸在住。Twitter:@younos

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