コムデギャルソンの3ブランドが、都内で観客を入れたショーを開いた。生身のモデルが服を着て、音楽や会場の空気感など人間の五感に訴えるリアルなショー。新型コロナの影響でデジタル配信になった2021年秋冬パリ・コレには参加せず、独自の世界観に基づいた新作を日本から発信した。
コムデギャルソンは3月22日、ミニショーを行った。会場の壁には、穏やかな雲の映像。作品の色は黒と白のみ。ジャカード地風の黒いケープは、白い薄布のふくらみでくっきりと縁取る。白いシャツを重ねて黒い生地と組み合わせたようなバルーンドレスや、両側にフリルのかたまりをつけたパンツも。
デザイナーの川久保玲は「テーマは“モノクロームの風景”。色や音、情報の氾濫(はんらん)。過剰なことの全てから離れて、静寂の中でひと呼吸したいという気持ちを表した」と話した。
同日、ノワール・ケイ・ニノミヤは、持ち前のロマンチックなパンク調に硬質な輝きを取り入れたスタイルをみせた。ポイントは、ステンレス製などのメタル飾り。透けるボレロから無数に突き出る飾りは、何かを拒絶する針やトゲのようでもあり、繊細な氷の結晶のようにも見える。
デザイナーの二宮啓は「今回はシンプルで強く、かつ冷たさのあるイメージにひかれた」と語った。
ジュンヤ・ワタナベは3月15日、大型ライブハウスで、ロックテイストを炸裂(さくれつ)させたショーを披露した。テーマはまさに「不滅のロック魂」。
ステージ上にはエレキギターが置かれ、往年のロックナンバーが大音量で響く。ザ・フーやクイーン、デビッド・ボウイにローリング・ストーンズ……。ミュージシャンたちのロゴ入りTシャツなどと、派手なチェックやフェイクファー、デニムや編みこみセーターなどが縦横無尽に組み合わされた。
新作の服と名作音楽、生身の人間の息づかい。ロックコンサート仕立てのショーで、ファッションの魅力を示す試みだった。
(編集委員・高橋牧子)
<写真はブランド提供>
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