大リーグの世界に触れてほぼ半世紀。「衝撃」という言葉で語るなら、今年のエンゼルス大谷翔平投手(27)はレジェンドをも超える振り幅で、私の心を大きく揺さぶりました。
高校2年の1973年夏に初渡米して以来、毎年のように大リーグを見て来ました。コロナ禍の今夏も「このチャンスを逃したら一生後悔する」と思い、ワクチン注射を終え、入国時のPCR陰性証明書などの関門をくぐって、遠くニューヨークまで足を運び、大谷の「ショータイム」を生で見ました。その8月16日は、ベーブ・ルース(ヤンキース)の命日でもあったからです。
当日は市郊外にあるルースのお墓参りから始まり、夜は旧球場が「ルースが建てた家」と呼ばれたヤンキースタジアムで観戦。「ルースビル」とも呼ばれる右翼席から、大谷の打席を見つめました。
それは100年の時を越えて、ルースと大谷がオーバーラップしたような不思議な感情が湧き起こりました。大リーグを見て半世紀近くとはいえ、当たり前ですが、ルースの現役時代に接したことはありません。それでも、ずっと夢に描いてきた光景に出会えたような、幸せなオーラに包まれました。
この半世紀、偉大なレジェンドたちを見てきました。走攻守で万能だったハンク・アーロン、ウイリー・メイズから、日本選手では野茂英雄やイチロー、松井秀喜まで、多くの選手から衝撃を受けました。それでも、大谷が投打で演じてきたインパクトは、彼らを圧倒するものでした。
まさに米国野球史上最大のヒーロー、ベーブ・ルースの再来です。「現代のルース」と呼ぶにふさわしい二刀流の革命児、「100年に1度生まれるかどうかの選手」と言えるでしょう。
あえて比較対象に挙げるなら、大学時代に投打二刀流で活躍し、野球、フットボール、バスケットボールと3つのプロスポーツからドラフト指名されたデーブ・ウインフィールド外野手。もしくは、大リーグとプロフットボールの兼業で両オールスターにも出場し、投手としての才能も見込まれたボー・ジャクソン外野手のような万能選手でしょうか。
それでも、たとえ彼らが世界最高峰の舞台で二刀流に挑戦したとしても、これほど奇想天外なプレーを見せることが出来たかは疑問です。それほど大谷は規格外のスケールを持ったスーパーヒーローです。たとえるなら、史上最高の速球投手と言われるノーラン・ライアンと、史上最高の万能選手と称されるメイズの才能を併せ持った選手と言っても、決して大げさではないような気がします。
未知の世界に挑み続ける大谷と出会えた2021年は、最高の1年でした。本場の野球を見続けて良かった、長生きして良かったという高揚感に浸りながら、至福のひとときを過ごすことができました。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)
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