新型コロナ禍が収束しつつある中、各地のモーターショーが再開されているが、出展は控えめだ。自動車会社は、巨額の予算を注ぎ込んで新型車発表の派手さを競うことに懐疑的になっている。高級車ブランドは富裕層向けの他のイベントに目を向ける。モーターショーも顧客に合わせて変化している。
デトロイト・モーターショーにバイデン米大統領が姿を見せた(写真=AFP/アフロ)
米ミシガン州デトロイトで9月14日、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)以降初となるモーターショーが開幕した。目を引く展示は減り、世界の自動車会社が売り込み方を変えつつある様子がうかがえる。
自動車会社がモーターショーに出展しないケースが増えている。発表する新型車の数は減り、派手な演出も控えるようになった。
14日には欧州のステランティスが「ジープ・グランドチェロキー」のプラグインハイブリッド車をお披露目し、会場内に設けた2階建ての走行路を上ってみせた。だが、30年前には、同社の車は会場前の階段を上り、入り口のガラスを突き破って登場していた。
モーターショーへの出展費用があまりに巨額になったため、自動車会社、特に高級車ブランドは、むしろデジタル技術見本市「CES」や米テキサス州の総合イベント「ステートフェア」、あるいはバーチャルでの新製品発表を選ぶ。
独フランクフルトのモーターショーは2019年以降開催されていない。スイス・ジュネーブの国際モーターショーの主催者は、次のイベントは23年に、同国ではなくカタールで開催すると発表した。
しかし、パンデミックの収束に伴い、モーターショーに足を運ぶ米国消費者の数は回復傾向にある。業界側からみれば、モーターショーはかけがえのない機会だ。潜在的な購入者が入場料を払って宣伝を聞きに来るのだから。
米フォード・モーターや日産自動車で広報を担当した業界コンサルタントのダン・ベドア氏は「きわめて貴重な機会だ。他の業界なら喉から手が出るほど欲しいイベントだろう。モーターショーが死んだというのは言い過ぎだ」と語る。ただし「下り坂であることは確かだ」と付け加えた。
パンデミックが転機に
モーターショーは、19世紀の産業博覧会や自転車展示会から発展した。自動車だけを集めた米国初の展示会は、1900年にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで開催された。その後、この種のショーは全米に広がり、今日では10~5月の「シーズン」中に60以上のイベントが開かれる。中でも重要なのが、ロサンゼルス、ニューヨーク、デトロイトのモーターショーだ。
デトロイトのイベントは91年に国際ショーに格上げされた。名称も「北米国際自動車ショー」となった。多くの新型車が発表される1月に開催され、最も多かった2004年には70モデルが発表された。03年には一般来場者数が81万1000人と、過去最多を記録した。
開幕日には自動車会社の経営幹部が飛行機でやって来て、20分間の記者会見に臨み、たいてい一般公開前に会場を後にする。各社はぜいたくな展示でライバルを上回ろうと、設計施工に1000万ドル(約14億4000万円)以上かけることさえある。
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