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Monday, July 10, 2023

鈴木敏夫Pが明かしたスタジオジブリ作品が日テレ金曜ロードショーでしか放送しない理由 - ニッカンスポーツ

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スタジオジブリ社長の鈴木敏夫プロデューサー(74)が6月28日、都内で行われた「金曜ロードショーとジブリ展」開会セレモニー&プレス内覧会で、主催の日本テレビの元社長・会長の氏家齊一郎さんと、徳間書店の元社長の徳間康快さんとの友情が、日本テレビとスタジオジブリとの、深く長い関係につながったと語った。

「金曜ロードショーとジブリ展」は、日本テレビ系の映画番組「金曜ロードショー」(金曜午後9時)の歩みをたどりながら、スタジオジブリ作品の魅力を紹介する展覧会。スタジオジブリ作品が公開された年と「金曜ロードショー」で放送された年は、どんな時代だったのかをたどりながら、作品の魅力を紹介。昭和から平成、令和に至る世相を掘り起こすことで、スタジオジブリ作品が持つ時代性と普遍性を浮かび上がらせる。

鈴木プロデューサーは、展示を見た印象を振り返り「思いだした人物が2人いた。誰か?」と、取材陣を含めた出席者に問いかけた。そして「1人は日本テレビで、ある時期、社長、会長を歴任された氏家斉一郎という人。もう1人は、僕は徳間書店という出版社の出身ですが、社長の徳間康快。この人がジブリを作ってくれた。この2人を感慨深く思い出しちゃった」と、2人の名前を挙げた。

続いて「ジブリの作品って『金曜ロードショー』しか、やらないですよね。そもそも、なぜ、そんなことになってしまったんだろうと言うと、徳間と日本テレビの氏家さんが、若い時から仲が良かったんですよ」と言い、スタジオジブリ作品を「金曜ロードショー」で放送することになった、ルーツを語った。

「ふと思い出したんだけど、氏家さんと徳間は年が6歳、離れていた。氏家さんは当時、まだ東大の学生で、徳間の方は読売の社会部の記者。それで(50年の)『日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声』という映画を作る時…あれは東大生が関係していますが、氏家さんとその他が、みんなでシナリオをチェックする。それを取材したのが徳間で、2人はそこで意気投合し、それをきっかけに付き合いが始まり、後には、読売新聞の主筆である渡辺恒雄さんも交えて、みんなで仲良くなるということがあったらしい。僕は徳間と氏家さんから、何回も何回も話を聞かされた。多分、この関係がスタート…一言で言えば、若き日に知り合った2人の友情。これが、後のジブリと日テレの関係を作った」

鈴木プロデューサーは「この2人と出会い…自分で言うのは、こっぱずかしいですけど、ずいぶんかわいがってくれた。その中で、今日の僕があるのかなと思った次第。その延長線上に、ジブリがあります」と、氏家さんと徳間さんが自分のことをかわいがってくれたと懐かしそうに振り返った。

徳間さんは00年9月、氏家さんは11年3月に亡くなったが、鈴木プロデューサーは、2人は死後も縁が深いであろうと明かした。

「しゃべっていて思い出しました。2人とも、当たり前ですけど、残念ながら、ある年齢になって亡くなった。氏家さんのお墓は青山墓地にあるんですよ。メインの交差点のトイレがあり、その裏。そこから歩くこと、多分20~30分。もう1つ、青山に長谷寺がある。そこに、実は徳間が眠っている。一緒に出会い、お互い肝胆相照らし、そして、一緒に、いっぱい仕事した2人が、それ何と、死んだ後も近くにいる。面白いなと思った次第です。今回の『金曜ロードショーとジブリ展』は僕個人にとっては、感慨深いものがありました」

氏家さんとスタジオジブリとの関係で、忘れてはいけない作品がある。氏家さんが亡くなった2年後の13年11月に公開された、高畑勲監督のアニメ映画「かぐや姫の物語」だ。同監督にとって、99年の「ホーホケキョ となりの山田くん」以来14年ぶりの劇場版アニメ映画で「原作・脚本・監督 高畑勲」と並び「製作 氏家斉一郎」とクレジットされた。

記者は、13年11月7日に都内で行われた「かぐや姫の物語」の完成報告会見を取材している。その席上で、氏家さんが製作にクレジットされた経緯について説明があったことを、鈴木プロデューサーの話を聞いていて思いだした。会見の席上で、当時の日本テレビの大久保好男社長(現顧問)が「氏家が『冥土の土産に新しい作品を作ってくれ』と懇願したのがこの作品」と明かした。「かぐや姫の物語」は結果的に、18年4月に亡くなった同監督にとっては遺作となったが、製作に8年、破格の50億円の製作費を投じて完成させた裏には、氏家さんの存在があった。だからこそ、死後2年たっても、作品に名前がクレジットされたのだ。

「金曜ロードショーとジブリ展」の中には、鈴木プロデューサーが氏家さんと徳間さん、日本テレビとジブリについて書いた、長文も展示されている。日本の映画、テレビ、エンターテインメントの歴史において重要な資料であり、興味深い読み物なので、ぜひ足を止めて熟読することをお勧めする。【村上幸将】

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