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Monday, January 20, 2020

新型肺炎、情報開示に疑念 北京や広東省でも感染拡大 - 日本経済新聞

新型肺炎、情報開示に疑念 北京や広東省でも感染拡大 - 日本経済新聞

新型コロナウイルスについて注意を呼びかけるポスター(羽田空港国際線ターミナル)

新型コロナウイルスについて注意を呼びかけるポスター(羽田空港国際線ターミナル)

中国の湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染が広がってきた。武漢市の198人に加えて、患者は北京市や広東省に拡大し、中国全体で計218人に達した。海外では日本やタイのほか、韓国でも発症者が確認された。専門家の間にウイルスが感染しやすい性質に変わったとの見方は少ないが、感染者の拡大を受けて中国政府の情報開示への疑念が高まりつつある。

武漢市当局によると、18~19日に発症が確認されたのは25~89歳の男女136人。計198人の患者のうち、死亡者は1人増えて3人になった。

患者は武漢以外にも広がる。国営新華社通信などによると、20日時点で北京市で5人、広東省で14人、上海市で1人の発症が確認された。

北京市大興区は20日、武漢への旅行者の発症を確認したと発表。広東省も19日、昨年末に武漢を訪れた深圳に住む男性(66)の発症を確認した。浙江省の衛生当局も20日、5人に感染の疑いがあると明らかにした。

習近平(シー・ジンピン)国家主席は20日、「国民の生命と健康が第一だ。断固としてウイルスのまん延を抑え込む」という重要指示を出した。感染拡大に対する危機感のあらわれといえる。

なぜ感染者は増え続けているのか。長崎大学熱帯医学研究所の安田二朗教授は「医療現場で病気が認識され、報告数が増えた」とみる。ウイルスが感染しやすい性質に変わったわけではなく、もともと一定数の感染者がいたとの見方だ。

厚生労働省も「ウイルスの危険性を見直す段階ではない」としている。現状では人から人への感染が容易に起こるとは考えられないためだ。

コロナウイルスの仲間は風邪や肺炎を引き起こす。今回の新型コロナウイルスは感染力が弱いとみられているが、家族間など身近な人同士の感染の恐れも一部で指摘されている。英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは武漢の空港利用者数などから、12日までの感染者数を約1700人と推計している。

感染者数の拡大を受けて、中国国内では当局への疑心暗鬼が渦巻いている。「もっと早く対応を取っていれば感染を制御できたのでないか」。中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」では20日、ユーザーからこんな疑問が投稿された。

中国・武漢市で発生した肺炎の原因とされる新型のコロナウイルスの電子顕微鏡写真=中国疾病予防コントロールセンター、GISAID提供・共同

中国・武漢市で発生した肺炎の原因とされる新型のコロナウイルスの電子顕微鏡写真=中国疾病予防コントロールセンター、GISAID提供・共同

武漢市当局は14日以降に地元の空港や駅、長距離バスの発着所などに体温を検査するサーモグラフィーを330台以上配備した。

これに対し、香港政府は3日から国際空港で体温検査を実施してきた。台湾の衛生当局も昨年末から武漢と台湾をつなぐ直行便で機内検疫をしている。武漢市の対応が後手に回ったのは否定できない。

中国政府は自国民に不安が広がらないように、情報統制を敷いているようだ。ウェイボでは「武漢の医療機関では発熱の患者が多すぎて入院を断られた」などと不満を訴える書き込みが削除されたという。こうした当局の動きは「中国政府の発表データは信じられない」(中国人ユーザー)という疑念を生んでいる。

02年に起きた重症急性呼吸器症候群(SARS)では、中国当局が初の感染事例を確認してから公表までに約3カ月かかり、国際社会の非難を浴びた。このときの教訓をふまえ、中国は12日にコロナウイルスの遺伝子の配列情報を他国に公開した。台湾と香港の専門家による武漢への訪問も受け入れた。

当時より前進はみられるが、迅速な情報開示では課題が残る。安田教授は「中国の対応はSARSの時より改善しているが、今回も情報開示が遅かった」と話す。

海外ではタイや日本に加えて、20日には韓国でも中国国籍の女性(35)の感染が確認された。中国では25日の春節(旧正月)期間の前後40日間で延べ約30億人が移動する見通しという。感染経路の特定とともに、患者数についても中国当局の正確な情報開示がもとめられている。中国当局の対応に信認が得られなければ、春節時の大移動が国内外で大きな混乱を招く懸念が強まる。

(大連=渡辺伸)

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2020-01-20 13:00:00Z
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