井野将之が手掛けるブランド「ダブレット(doublet)」が1月23日、パリコレの公式スケジュールで、2021年秋冬コレクションを一風変わったランウェイ形式で発表した。
「再生の物語にしたかった」という今回は、リサイクルスクラップ工場を舞台に、フィナーレからスタートし、モデルが後ろにキャットウォークするという逆再生動画で見ると通常のランウェイのようになる演出を取り入れた。車やロッカーなどがパワーショベルに潰されている様を逆再生にすることで、潰れた物が復活していく「リバース(再生)」を表現し、コロナ禍でも前進しようという前向きな思いをショーに込めたという。
演出のアイデアソースは、クリストファー・ノーラン 監督作品の「テネット(TENET)」。「映画を見た後、家でボールを使って逆再生だとどんな映像になるのかずっと遊んでいて、そこでショーを逆再生で見せたら面白いのではないかと考えた」と話しており、実際会場に焚かれたスモークなど映画を想起させる仕掛けも用意された。
コロナ禍で移動が制限されインスピレーションを得る機会が減ったことから、自身の過去に焦点を当てたという2021年秋冬コレクション。2021年春夏コレクションで登場した熊を某チョコレートにあしらったグラフィックや戦隊ヒーロー、動物のモチーフなど井野が幼少期に触れてきたものをデザインに落とし込んだ。また、母親がよく「もったいない」という言葉を使っていたことを思い出したという井野は、残布や古着のニットを解体して糸にしたといったリサイクル素材をブランドとして初めて採用。リサイクル素材は継続して使用していく予定だという。
井野は「2021年春夏がコロナ禍の中で初めてのコレクション発表になったが、今回は前回の「プレゼントを与えていく」というストーリーから進んで、立ち止まらずここからスタートして行こうという物語を作りたかった。せっかく足を運んで来て頂いているので、来場者の方に楽しんでもらえるようデジタル上で見るショーと会場で見るショーとで誤差が出る表現を模索した」と振り返った。
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