【AFP=時事】世代を超えて親しまれてきた米絵本作家ドクター・スース(Dr. Seuss)の作品のうちの6作が、現代では人種差別的とみなされる描写があることから絶版が決まった。出版社のドクター・スース・エンタープライズ(Dr. Seuss Enterprises)が2日、発表した。
絶版が決まったのは「If I Ran the Zoo」や「The Cat's Quizzer」、「And to Think That I Saw It on Mulberry Street」などで、作中には「日本人」や「アラブ人」とされる人物や、茶わんと箸を手にした「中国人の男の子」といったキャラクターが登場する。
発表が行われた3月2日は、スースの誕生日だった。スースは本名をセオドア・スース・ガイゼル(Theodor Seuss Geisel)といい、1904年、米マサチューセッツ州で誕生。生涯で60作以上の絵本を出版し、代表作の「キャットインザハット(The Cat in the Hat)」、「グリンチ(How the Grinch Stole Christmas)」、「緑色のたまごとハム(Green Eggs and Ham)」など、児童文学史に残る人気作品を世に送り出した。作品は数十言語に翻訳され、世界で6億5000万部以上を売り上げている。
だが米国では最近、スース作品の多くでマイノリティーの描き方に問題があるとの批判が高まっていた。2019年、学術誌「青少年文学における多様性研究(Research on Diversity in Youth Literature)」に発表された論文では、50のスース作品を検証。登場する有色人種のキャラクター45人のうち43人にオリエンタリズム的な特徴があると結論したほか、スースが1920年代に反黒人・反ユダヤ人的な漫画を雑誌で発表したことや、第2次世界大戦(World War II)中に日本人に対する差別的なプロパガンダを手掛けていたことも指摘された。
【翻訳編集】AFPBB News
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