記者席で選手の動きやプレーを見つめ、勝負が終われば選手への取材エリア「ミックスゾーン」へと足早に移動する。これが以前の五輪取材の流れといえるだろう。
コロナ禍の東京五輪では選手と一定の距離を取りながら、この取材エリアで質問することができる。ただ、感染対策の観点から人数は制限されている。特に競泳会場では、日本の新聞記者は抽選で選出される仕組み。現場では「運」も求められた。
競泳の最終日だった1日は、ミックスゾーンに入ることができた。白血病と闘い、2度目の五輪に出場した池江璃花子(ルネサンス)が、大会を振り返って「自分自身に誇りを持っていける」と感極まった。報道陣とのやりとりも終盤にさしかかろうとしたころ、親交を深めてきたサラ・ショーストロム(スウェーデン)がやってきた。
ショーストロムは2月に負った右肘骨折から復活し、女子50メートル自由形で銀メダルを獲得していた。「おめでとう」と盟友に語りかける池江。短く交わした抱擁に、それぞれ向き合った困難や苦労へのねぎらいが凝縮されていた。
コロナ禍で選手と対面できる機会は貴重といえる。選手が発する言葉だけではなく、表情の変化や醸し出す雰囲気も見逃さないようにしたい。(磯部旭弘)
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