24日に放映されたテレビ朝日の番組「羽鳥慎一モーニングショー」での日本共産党の志位和夫委員長の発言は以下の通りです。
コロナ対策どうする?
「医療・公衆衛生 再生プログラム」の提案
番組では、最初にコロナ対策について問われました。
志位 私たち、この「医療・公衆衛生 再生プログラム」を、この間、発表しております。
この間のひどい医療崩壊がなぜ起こったのかというと、この40年来の医療・公衆衛生切り捨ての政治の結果です。「人災」だと思っています。これを立て直すための提案です。
いくつかの柱があるのですが、そこ(番組ボード)にありますように、まず感染症病床、そして保健所をそれぞれ半分にしてしまったわけですね。これが医療ひっ迫を招きました。ですから、それぞれの予算を2倍にし、拡充に転換します。
それから、医師の数ですけれども、抑制を続けてきた結果、日本の医師数は、先進国の平均(人口比)からしまして14万人足らない。医師の削減計画を中止して増員に変えていく。
それから三つ目に、全国400の公立・公的病院をリストアップして統廃合していく、しかも消費税増税分を財源にして病床を切っていくと、こういうとんでもない計画が今進められておりますが、これは中止して、病院の拡充の方向に転換する。
最後に、「感染症科学者会議」をつくるという提案をしています。政府から独立した専門家の知見を集めた会議をつくって、科学に基づく感染症対策ができるようにします。
これまで「専門家会議」や「分科会」がありましたが、「独立性」という点では制約もあったと思います。独立した会議をつくり、科学に基づいた対応ができるようにする。
そういう抜本的な対策がいま必要だということを訴えています。
政府のコロナ対策、何が一番ダメだった?
科学を無視し、無視したことへの反省がない
コメンテーターの玉川徹氏が、「政府のコロナ対策で、何が一番ダメだったんですか」との質問に対して、志位氏は次のように答えました。
志位 私は、科学を無視し、無視したことへの反省がない、これが一番の問題だと思っています。
この番組でも、ずっと取り上げていましたが、PCR検査が、日本は世界でいまだに143位(人口あたり)。なんでこんなに少ないのか。去年5月に、厚生労働省が、PCR検査を広げると医療崩壊が起こるという内部文書をつくったんですよ。これをばらまいた。そして検査を抑えた。抑えた結果が医療崩壊じゃないですか。
羽鳥 じゃ、検査を広げていくっていうことですか。
志位 検査を広げていく。それから、たとえば「Go To トラベル」です。これも「旅行をやっても感染は広がらない」と言ってずっと続けた結果、日本中にウイルスをばらまいた。結果は新たな波をつくりました。
さらに、東京五輪・パラリンピックですよ。一方で、国民に自粛を求めながら、一方で人類最大のお祭りをやる。こうした矛盾したメッセージでは、やはり国民に伝わりません。そのために、感染爆発を招いた。
これらは全部、科学を無視した対応です。
羽鳥 政府の失策だと。
志位 ですから私たちが「感染症科学者会議」をつくろうと提案しているのも、やはり政府から独立して、きちんとした(科学的)知見をまとめて国民に発信する機関が必要だと(考えるからです)。日本学術会議のような独立した機関をつくって、その知見に基づいて政府が対策をやっていく必要があります。
どうする野党共闘?
画期的な共通政策の合意――あとはこの政策を実行する政権をどうやってつくるか
司会の羽鳥氏が「政権交代に向けて、野党共闘」について質問しました。
志位 9月8日に、野党共通政策で合意しました。大変画期的な合意だと思っています。ここに合意文書を持ってまいりましたけれども、20項目にわたる共通政策の旗印が立ちました。
その中には、もちろん「安保法制の廃止」もありますが、「核兵器禁止条約の批准を目指す」、「沖縄辺野古の新基地建設を中止する」、「従来の医療費削減政策を転換し、医療・公衆衛生の整備を迅速に進める」、「消費税減税を行い、富裕層の負担を強化する」、「石炭火力から脱却し、原発のない脱炭素社会を追求する」、「選択的夫婦別姓…女性に対する性暴力根絶に向けた法整備」なども入っています。
ですから、これまでの安倍・菅政治のかなりのチェンジのかなめになる政策が立ったと思います。
あとは、この政策を実行する政権をどうやってつくっていくかです。
羽鳥 連立政権はないんですか。
志位 この枝野(幸男立憲民主党代表)さんがおっしゃっている「連立政権は考えていない」と、この「連立」という意味は閣内協力の話だと思います。それで、私たちは、閣内協力もあるし、閣外協力もある。
羽鳥 閣外協力もあるんですか。
志位 閣外協力もある。それは話し合って、一致点で決めればいい、という考えです。そこは話し合っていけば、私は、一致が得られると思います。そこはぜひ話し合って(いきたい)。
やはり選挙協力をやるからには、政権選択の選挙でもある総選挙でしょう。ですから選挙協力をやった各党がどういう政権をつくるのか、このビジョンを示しませんと、国民に責任ある態度とはいえません。ぜひここは近々に話し合って、結論を得たいと思っております。
小異を捨てて大同に?
自公政権を倒すという大局に立った行動を
コメンテーターの玉川氏が「小選挙区だから、1人しか当選しない。与党が一本化しているときに、野党が一本化しないでどうやって勝つんだ。そういう時に、小異を捨てて大同につけるかだと思う。共産主義にアレルギーをもっている人たちをどうやって安心させるのか」と問われ次のように答えました。
志位 私たちは、共産主義、あるいは社会主義を目指しています。ただ、(旧)ソ連や中国のような体制とはまったく違う、自由、民主主義、人権を大事にする社会を目指しています。
これは私たちの目標ですが、これを共闘のなかに持ち込むことはしません。つまり、わが党の独自の理念、あるいは日米安保条約を廃棄し、日米友好条約に変えるのは大きな党の目標ですが、これは一致しません。こういう不一致点は、共闘のなかに持ち込まない。一致点で大同団結すればいい。
ですから、玉川さんが「小異を捨てて大同につけ」といいますが、“大異”があってもそれは横に置いて、大同につく。みんなで力を合わせて、いまの自公政権を倒すという大局に立った行動が必要だと考えます。
ですから、4野党と市民連合との共通政策合意は、そういう大きな一致点が太く出たものです。私たちは、この方向でぜひ一致して、いまの政治を変えるという決意が、野党には求められていると思います。
原発・エネルギー政策は?
原発ゼロ・脱炭素――気候危機打開を大争点にたたかう
司会の羽鳥氏が「原発、エネルギー政策」について質問しました。
志位 私たちは、原発再稼働を中止すると(言っています)。原発ゼロという方針です。同時に、脱炭素ということをセットで進めていきたいと思っています。
私たちは、「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」というのを先日発表しました。
いま気候危機が、まさに非常事態になっています。日本でも、「数十年に1度」といわれるような暴雨災害が毎年のように起こっています。明らかに背景に気候危機があると思います。
人類に残された時間はあとわずかです。2030年までに地球全体のCO2を45%削減し50年までにはゼロにしなければならないという、まさに待ったなしの課題になっています。だから、これはぜひ気候危機の問題を(総選挙の)大争点にして論じていきたいと思います。
私たちの目標としては、30年までにCO2を50%から60%削減する。
そのやり方としては、省エネルギーで社会全体のエネルギー消費を40%カットする。それから電力の50%を再生可能エネルギーでまかなう。この両方をやれば、目標は達成できます。
これをやれば、(年間)254万人の雇用も増える、GDPも累積205兆円増えるという試算もありますから、ぜひ持続可能に発展する経済をつくるという意味でも、脱炭素、省エネ・再エネ、大規模にこれを進めていくということを訴えたいと思います。
既得権益どう考える?
「原発利益共同体」「石炭火力利益共同体」とたたかう
玉川氏が「既得権益」をどう打ち破るかについて質問したことに対して、志位氏は次のように答えました。
志位 (目標達成のために)既得権益という点では、私は、二つの既得権益とたたかう必要があると(思います)。
一つは、「原発利益共同体」。これは電力、あるいは鉄鋼など、原発でもうけている集団です。
もう一つは、「石炭火力利益共同体」があります。石炭火力にしがみついて、いまだに(石炭火力を)九つもつくろうとしている。
この二つの既得権益とたたかって原発ゼロ、脱炭素をやる必要があります。
たたかい方は、政治とそういう巨大大企業との癒着を断つことです。一番のポイントは、企業・団体献金をなくす、それから天下りなどの人事の癒着を全部ばっさり断ち切ることです。
二つの既得権益集団とたたかっていかないと、原発ゼロ、脱炭素は実現しません。ぜひそういう道を進みたい。そう思っています。
消費税減税の財源は?
富裕層と大企業に応分の負担を――世界の流れでも当たり前
司会の羽鳥氏が、野党が消費税減税を掲げているとして、その財源について質問しました。
志位 財源は、富裕層と大企業に応分の負担を求めます。
法人税の実質負担率を見ると、だいたい中小企業、中堅企業は20%なんですよ。大企業は10%、半分しか払っていない。研究開発減税など優遇税制があるために、軽いのです。そういう優遇税制をなくします。
それから、法人税の税率を下げてしまいました。安倍政権の前の28%まで大企業については法人税を戻す。こういう改革をやっていきます。
所得税は、年収1億円を超えますと、逆に実質負担率が下がってしまいます。株の譲渡や配当に関する金融課税がうんと軽いからです。譲渡については(20%から)30%まで上げます。配当については総合課税にして、最高税率のところではちゃんと取ります。
所得税の最高税率そのものを45%から55%まで上げます。
この全体によって、税金は取るべきところから取る。
これは世界の流れにもなっています。バイデン米大統領が4月の議会演説で、大変面白いことを言いました。「1%の富裕層に課税する」。「ここから税金を取らなくてどうするんだ」ということも言いました。
それから、(バイデン氏は)トランプ政権が21%まで下げた法人税率を28%に戻すと言い出しています。日本共産党も28%(に戻す)ですから、アメリカの民主党と日本共産党の目標が28%で一致した。
世界の流れはもう新自由主義的な弱肉強食の税制じゃなくて、応分の負担を求めていく方向です。大企業や富裕層に負担を求めると(いうことです)。当たり前なんです。消費税は5%にして、そういう改革をやるべきだということです。
国民民主党は一緒に?
ユニティー・イン・ダイバーシティー(多様性の統一)の立場で協力を
玉川氏が、野党が消費税の減税を主張していることで一致していることをあげて、「ますます国民民主党は一緒にやればいいのに」と発言したことに対して次のように述べました。
志位 ぜひ、野党は、国民民主党も含めて協力してやっていきたいというのが、私たちの気持ちなんです。
玉木さんとの関係では、「たまきチャンネル」(インタ―ネット番組)に私は出たことがあるんです。ピアノも弾かされたんですけれども。そこで大きな方向性として、立憲主義を回復する、貧困と格差をなくしていく、多様性を大事にしていくという三つの方向はだいたい一緒ですねと。そういうことはだいたい話し合ってやってきました。
ですから、私は、ぜひここは、違いがあるかもしれないけれど、政党だから違いがあるのは当たり前。共産党も違います。違いはそれぞれ主張したらいいのです。違いはそれぞれ主張しながら、やっぱり一致点をよく見極めて、団結していく。ユニティー・イン・ダイバーシティー(多様性の統一)、もうダイバーシティーがあってもユニティーしていくという立場が野党は大事だということをいいたいですね。
共産党という名前があまりよくない?
私たちの理想の名前、人間の自由、人間の解放が大目標
玉川氏が、「共産党という名前があんまりよくないんじゃないですか。変えられないのですか」と質問したのに対して志位氏は、次のように答えました。
志位 うん。これは、私たちの理想の名前です。これは、もともとは、ラテン語でコムニス――「共同」というところからきているんですよ。要するに、人々が角を突き合わせるのではなくて、力を合わせて生きていこうということです。そこからコミュニズムとつながってきているのです。私たちの目指す共産主義というのは人間の自由、人間の解放、これを本当に目指している社会ですから、(党名は)大事に使っていきたいと思っています。
玉川 それだったら、日本共生の党とかにすればいい。
志位 「共産」というところがいいところで、やっぱり(共産主義の)一番の要は、生産をみんなで力を合わせてやるというところにあるのです。
羽鳥 玉川さん、野党のみなさんも、自分自身の考えを持ちつつ、柔軟にいろいろやって、協調したりとかそういうところもあるんで、玉川さんも自分の考えがあるでしょうけど、柔軟になって協調するということも、野党のみなさんを見習って考えていただきたい。
玉川 はい。見習いたいと思います。
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