今年を代表する言葉を選出する「2021ユーキャン新語・流行語大賞」のノミネート30語が4日、発表された。今回は30語中、東京オリンピック(五輪)・パラリンピック関連が9語。昨年15語と半分を占めたコロナ関連は7語だった。トップ10と大賞は12月1日に発表され、同日に表彰式も開催される。
(1)イカゲーム 米国の映像配信会社「ネットフリックス」が9月に配信を開始した韓国のドラマ。世界的ヒットに。勝てば多額の賞金がもらえる命を賭したデスゲームが展開される
(2)うっせぇわ 2020年10月に配信限定で発表された楽曲。ネットの歌い手文化で活躍する現役女子高生Ado(アド)が歌い、「うっせぇうっせぇうっせぇわ」と社会への怒りを表現するフレーズが耳に残る。作詞・作曲はボカロPとして活躍するsyudou(シュドウ)
(3)ウマ娘 スマホ・パソコン向けソーシャルゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」。実在の競走馬を擬人化した美少女たちがトゥインクルシリーズと呼ばれるレースで優勝を目指すという内容の育成シミュレーション。アニメファンと競馬ファンの両方の心をくすぐったことで人気に
(4)SDGs Sustainable Development Goalsの略で、持続可能な開発目標のこと。国連が2015年にすべての加盟国の合意により採択した国際目標で、2030年に達成すべき17の目標からなる
(5)NFT 非代替性トークン(Non-fungible token)。ゲームのアイテムや電子的なアート作品などのデジタル情報について、所有権、真正性、唯一性を保証する仕組み。暗号資産と同じブロックチェーン技術を導入して「私だけが持つデータ」として証明するもの
(6)エペジーーン 東京五輪のフェンシング男子エペ団体で金メダルを獲得したことで話題になった言葉。「エペ陣」と「ジーンと感動させる」をかけたもので、主将の見延和靖選手が名付けた愛称だという
(7)推し活 応援活動。もとはアイドルを応援するファンが自身の好きなメンバー(推しメン)を応援する活動を指して用いた言葉。当時は「オシ」「押し」「推し」と複数の表現があったが、芥川賞を受賞した宇佐見りんの小説『推し、燃ゆ』で「推し」と定着。箱推しはグループ全体を推すこと。推し活グッズ「アクスタ」が注目され、推しの対象分野も拡大中
(8)親ガチャ 親を自分で選べないこと。出生にあたり、運次第のガチャ(ソーシャルゲームやカプセル玩具自販機)を1回しか回せないような状況を言った言葉。当事者側からの言葉としても問題提起となっている
(9)カエル愛 東京五輪ボクシング女子フェザー級の金メダリスト入江聖奈選手が、「卒業後はカエル関係の会社に就職したい」など、カエル好きであることを公言。独特なキャラクターも注目された。「カエルのためにも金メダルをとれて良かった」とも発言
(10)ゴン攻め/ビッタビタ 東京五輪の新競技「スケートボード」で解説を務めた瀬尻稜プロが発した言葉の数々が話題に。アナウンサーとの絶妙なやりとりも紹介された。思わず使ってみたくなる表現の軽妙さが人気に
(11)ジェンダー平等 すべての人が性別にかかわらずに平等な機会と権利を持ち得ることを意味する。国連が採択した「SDGs=持続可能な開発目標」の17目標のうちの1つでもある
(12)自宅療養 8月、コロナ陽性患者のうち、入院対象者を重症者や重症化リスクのある人に限定し、それ以外の陽性者については基本的に「自宅療養」とする方針を政府が打ち出した
(13)13歳、真夏の大冒険 東京五輪の新競技「スケートボード」で、女子ストリートの西矢椛選手が日本最年少金メダルを獲得。中継を担当したフジテレビ倉田大誠アナウンサーの「13歳、真夏の大冒険」は名実況として話題に
(14)ショータイム 二刀流のロサンゼルス・エンゼルス大谷翔平が登場する際に使われるキャッチフレーズ「イッツ、ショー(翔)タイム!」。活躍場面で、実況アナウンサーたちがうれしそうに絶叫する映像は日本のスポーツニュースでも流された
(15)人流 コロナ禍で頻繁に使われるようになった言葉。「人の流れが減少」など人出の意味合いで使われた。「人流=主要繁華街での滞留人口」として、「ある場所、時間帯における人出の様子や規模」をひと言で表せる語として重宝された
(16)スギムライジング 東京パラリンピックの競技「ボッチャ」で金メダルを獲得した杉村英孝選手の得意技。密集した球のうえに、やわらかく乗せる正確な投球をあらわした言葉
(17)Z世代 X世代、Y世代に次ぐ、1990年代後半~2000年代生まれの人のこと。もとは米国で誕生した概念。デジタルネイティブで若者世代の代名詞
(18)チキータ 卓球のレシーブの際に使われる技術で、2010年代に爆発的に流行した。東京五輪メダリスト伊藤美誠選手が多用して話題に。ボールの軌道がバナナの形に似ていることからバナナの商品名にちなんでつけられた。逆チキータもある
(19)チャタンヤラクーサンクー 東京五輪で新競技となった空手の形。銀メダル獲得の清水希容選手が決勝で演じた。沖縄県出身者初の金メダリストとなった喜友名諒選手が決勝で演じたのは「オーハンダイ」
(20)ととのう コロナ禍で外出自粛、黙浴のすすめの中、サウナ人気が再燃。サウナと水風呂の交互浴により多幸感を得ることを指す。サウナ関連ドラマや漫画も話題
(21)フェムテック 女性(フィメール)と技術(テクノロジー)を合成した言葉。女性の抱える心身の健康問題を情報通信技術を利用して解決する仕組み
(22)副反応 ワクチンを接種すると、免疫ができる以外の反応が起こることの呼び名。新型コロナワクチンでは接種部の痛み、疲労、頭痛、筋肉痛、悪寒、関節痛、発熱などの症状が出ることもある
(23)ピクトグラム 新語ではないが、五輪開会式でパントマイムで再現して話題となった競技の絵文字。パフォーマーコンビ「が~まるちょば」のGABEZ(ガベジ)ら5人が演じた。スポーツだけではなく非言語的に案内する絵文字の総称
(24)変異株 新型コロナウイルス感染症を引き起こすウイルスはヒトの体内に侵入して遺伝情報のコピーをつくって繰り返し増殖する際にコピーミスを起こして一部の遺伝情報が変わって性質の一部が変化したもの。今年7月、感染力の強い「デルタ株」の流行で感染者が増大し、第5波の感染爆発を起こした
(25)ぼったくり男爵 ワシントン・ポスト紙で紹介された国際オリンピック委員会(IOC)トーマス・バッハ会長の呼び名。拝金主義を背景とした強硬姿勢を批判された
(26)マリトッツォ ブリオッシュ(卵とバターを豊富に使ったパン)などに切り込みを入れてクリームをたっぷりと挟んだスイーツ。もとはイタリア・ローマの伝統菓子。フルーツを加えるなど応用力の高さも魅力
(27)黙食/マスク会食 コロナ感染防止対策から、黙浴、黙乗などの黙○が話題となり、文字通り黙って食べること。なお、会食する際には、食べるとき以外はマスクを着用するマナーも注目された
(28)ヤングケアラー 家族の介護や世話を担う18歳未満の子どもたち。大人の手伝いではなく、大人が担うようなケアを日常的に行い、責任も引き受けていることが多い。2014年ごろから話題になっていたが、今年、大きく取り上げられた
(29)リアル二刀流 日本のプロ野球(NPB)北海道日本ハムから米大リーグ(MLB)ロサンゼルス・エンゼルスへ18年に移籍した大谷翔平の投打二刀流の成功が本格的に証明された活躍の総称。関連して「なお、エンゼルスは…」と大谷の活躍を報じた直後に試合結果を続けチームが勝利に結びつかないもどかしさを表現した言い回し「なおエ」も話題に
(30)路上飲み 緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置などにより、飲食店に対して営業自粛や時短営業の要請、酒類提供禁止の状態が続き、路上に集まり飲酒する行為
◆選考委員=姜尚中(東大名誉教授)、金田一秀穂(杏林大教授)、辛酸なめ子(漫画家・コラムニスト)、俵万智(歌人)、室井滋(女優・エッセイスト)、やくみつる(漫画家)、大塚陽子(「現代用語の基礎知識」編集長)(敬称略)
◆昨年大賞 「3密」。トップ10は、「GoToキャンペーン」「オンライン○○」「アマビエ」「アベノマスク」「鬼滅の刃」「フワちゃん」「ソロキャンプ」「愛の不時着」「あつ森」
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