武漢コロナ(新型コロナウイルス感染症)の感染が拡大する中、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長と李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事の突飛な行動が相次いでいる。李在明知事は新興宗教団体「新天地」総会本部(京畿道果川市)への強制進入に続き、ウイルス検査を実施するとして夜間に李万熙(イ・マンヒ)総会長の居所(京畿道加平郡)に押し掛けた。朴市長は李万熙総会長を殺人容疑で告発した。朴元淳市長と李在明知事は、次期大統領選挙での与党圏の有力な候補者であり、わが国民のほぼ半数が居住する地方自治体の首長だ。しかし「公共の敵」となった新天地を標的と見なして政府の防疫の責任をごまかし、自分の政治のために競争しているという印象を拭えない。
2人の新天地への集中攻撃は、李在明知事が先だった。李知事は新天地信者の名簿提出が論議を呼んでいた先月25日、果川本部に自ら立ち入り、家宅捜索に近い強制疫学調査を実施した。また「迅速に秘密裏に急襲した」として、確保した信者の名簿を戦利品のように自慢した。中央政府に提出された名簿と異なるとして、新天地の虚偽提出、政府の不正入手疑惑も重ねて提起した。これについて、中央災難(災害)安全対策本部は「現在までに新天地側の資料の抜けや非協力の事実は確認されていない」と明らかにした。それでも李知事は依然として捏造疑惑を撤回していない。むしろ新天地への嫌悪に便乗し、強攻を続けている。警察まで動員するほど李万熙総会長1人の感染有無が重要なのかとの疑問もわいてくる。
朴元淳市長の「新天地パフォーマンス」も負けていない。朴市長は今月1日、李万熙総会長と12人の支派長を殺人罪や傷害罪、感染病予防管理法違反の疑いで検察に告発した。また、尹錫悅(ユン・ソクヨル)検察総長に対し「ウイルスの震源地の責任者、李万熙総会長を逮捕するのが今の検察の役割」とも主張した。しかし、殺人罪の立証は困難で、むしろ朴市長が虚偽告訴罪で逆に告発されかねない事案だとの批判が法曹界から出ている。「政治家の恐ろしいショーマンシップ」「スケープゴートを探す魔女狩り的な暴力」といった言葉も「民主社会のための弁護士グループ」所属のクォン・ギョンエ弁護士から出ている。しかし、朴市長はソウル市傘下の交通放送(TBS)などに出演し「ソウル市が告発したため、1か月たって初めて国民の前に姿を現したのだ」と述べ、殺人罪で告発した理由を力説した。
2人は「新天地を踏み潰せば人気が上がる」と思っているかのように華やかなショーを繰り広げている。人権弁護士出身だといいながら、一部集団に対する差別と嫌悪を自分の政治に利用している。何よりも、コロナウイルスの防疫戦線を引っかき回しているのだ。中央災難安全対策本部と疾病管理本部には、われわれの社会が育成した専門家たちが布陣している。その専門家たちは「強圧的な措置では信者が潜伏する可能性があるため、自発的な協力を誘導しなければならない」と話した。朴市長と李知事は、専門家たちの言葉に真っ向から逆らっている。それなのに李知事は「今は政治ではなく防疫に集中すべきとき」と述べた。2人にそのまま返したい言葉だ。
権祥銀(クォン・サンウン)京畿取材本部長
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