いわきFCが圧巻のゴールショーで暫定首位に浮上した。アウェーでYS横浜に今季最多得点となる6-0で完勝。直近5戦を無敗(4勝1分け)とした。MF岩渕弘人(24)が先制弾を含む3ゴール1アシストで、Jリーグ参入後、チーム初のハットトリックを達成。FW有馬幸太郎(21)は3戦連発、FW鈴木翔大(29)は2戦連発だ。後半だけで5発をたたき込み、シュート12本中6本を沈める脅威の決定率50%で勝ち点3をつかんだ。

青空が広がる横浜で、岩渕が誇らしげにハットトリックポーズを決めた。5-0の後半27分、DF日高大(27)がタッチライン際で相手と入れ替わり、グラウンダーの左クロスを入れると、ゴール前に詰めた岩渕が右足で流し込んだ。入場者1562人の半分を占めた、いわきサポーターに向けて両手でスリーピース。仲間とハイタッチした後にも右手でスリーピースを作り直し、プロ初ハットトリックの余韻に浸った。

「2年間、JFLにいましたけど、ハットトリックはできてなかった。2点というのは結構あったが、2点を取った後にちょっと満足していた部分があって、3点目を取りにいくのが足りなかったので、ゴール前に入っていく意識が高かった3点だったと思います」

先制点も奪った。前半43分、CKからのクロスを相手GKがキャッチし損ねた。「ずっと動きを見ていて狙っていた」。こぼれ球にいち早く反応。左足で蹴り込んだ。1-0の後半3分にはMF永井颯太(22)とのワンツーで抜けだし、GKのタイミングをずらして右足で2点目。この日は出番のなかったGK田中謙吾(32)と反復練習してきた形で「こういうタイミングで蹴ったら(GKは)取りづらい」とアドバイスされ、何本も打ち込んできたシュートを結果につなげた。

午後1時キックオフ、気温25・4度とタフな条件下だった。岩渕が先制点からハットトリックまでに要した時間は前半ロスタイム含めて31分。村主博正監督(45)に「最初からどんどん飛ばして、ガス欠になってもいい」と毎試合言われており、仕事を完遂すると後半32分で退いた。「チーム内の競争が激しいからこそ『もっともっと』という気持ちは強くなったと思う」。チーム2点目から5点目までにかかった時間も11分。前へ前へ向かう全員の貪欲さが、いわきの強さを生んでいる。【山田愛斗】