ソフトバンクグループ傘下の英半導体設計会社 アームは今週、新規株式公開(IPO)に向けたロードショー(機関投資家向け説明会)を開始するが、現実を直視することで上場への期待感は弱まりつつあり、評価額と調達額の両方の見通しが低下している。
ブルームバーグ・ニュースの 報道によると、アームは現在、50億ドル(約7300億円)から70億ドルの調達を目指しており、以前の最大100億ドルの目標から引き下げている。評価額は以前は600億-700億ドルを目指していたが、500億-600億ドルの範囲になる可能性がある。
アームは大口顧客であるアップルやエヌビディア、インテル、サムスン電子などをIPOの戦略投資家として確保した。だが、株式上場の行方は、中国リスクやスマートフォン市場の成長鈍化、人工知能(AI)の採用拡大による収益上振れなど、より広範な要因を投資家がどう評価するかに左右されそうだ。
アストリス・アドバイザリーのアナリスト、カーク・ブードリー氏は1日のリポートで、「500億ドルから600億ドルがより現実的な目標だと予想する」とし、「目論見書での情報開示もあまり支援材料にはならなかった。アームが売上高の目減りや、大方の予想を上回る中国向けエクスポージャーを報告したためだ」と指摘した。
目論見書によると、アームは中国事業の大半を独立した部門であるアーム・チャイナを通じて行っている。アーム・チャイナはアームにとって最大の顧客で、3月通期売上高のほぼ4分の1を占めた。同書類は、昨年度のアームの売上高が約1%減少し26億8000万ドルだったことも確認した。
ソフトバンクGの創業者である孫正義氏にとって、最新の評価額予想は少なくとも痛手だろう。同社はビジョン・ファンドからアーム株25%を161億ドルで購入し、アームを約640億ドルと評価した。ブードリー氏の予想レンジではこの持ち分の価値は125億ドルから150億ドル。
ブードリー氏は、「目論見書には、プライシングは既存の契約条件によって決まったと明記されている」が、「それが何であるかを知らなければ、プライシングを理解することは不可能だ」と述べた。
ナスダックへの来週の正式上場を前に今週ロードショーが進められる予定で、数字はまだ変わる可能性がある。予想より弱めの上場となれば、ソフトバンクGの信用見通しにも悪影響を与える恐れがあるとブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、シャロン・チェン氏は指摘した。
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原題: Arm IPO Expectations Tempered by Reality as Roadshow Kicks Off(抜粋)
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