冒頭に示した画像はテレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』が司会の羽鳥慎一が示した「東京都の感染者の推移」のグラフだ。
同番組では3月23日(月)から連日、この推移グラフを放送している。
グラフを示したときにスタジオで岡田晴恵・白鴎大学教授がどうコメントするのかが番組の一つの目玉になっている。
この推移グラフへのこだわりが『モーニングショー』の快進撃の背景にあるのではないか!?
この点が筆者が気がついたことだ。
新型コロナが次第に重大関心になっていくなかで筆者はテレビ各社の報道や新聞などの他のメディアの報道をチェックしてきた。
その中で同番組の「グラフへのこだわり」がとてもわかりやすく、少なくとも都民にとっては次第に危機が身近に迫っていることを感じさせるものになっていると感じる。
なぜなら数字が日々更新されていくので迫りくる危機を実感できるからだ。
「昨日の過去最多」
「厚労省の推計よりも倍のペース」
「ついに40人を超えた」
「また昨日も過去最多」
「ついに60人を超えた」」
「またしても記録更新」
岡田教授が「私は41人だとは思っていません。もっといるんじゃないか」などとコメントすることでこの数字の陰にはサイレントキャリア(見えない感染者)が数多く存在するだろうことを想像させる。
この番組のこうした実感をともなう報道スタイルの中で特に視聴者の「わかりやすさ」につながっているのが筆者はこのグラフだと考える。
毎日毎日、このグラフの数字が上がったのか下がったのか、視聴者は一喜一憂する。
3月29日に「68」と過去最多を発表していた東京都の感染者は翌30日に「13」と大きく減った。
しかし、これには次のような説明がついた。
(羽鳥慎一キャスター)
「先週からグーッとその数は急増しています。
おとといは過去最多の68人という人数だったんですが、
きのうは13人。
ただ、これ減ったのはその前の日が日曜日。
日曜日に検査をして結果が来るのが次の日になることがあるということなので
日曜日、患者に対応する外来が規模を縮小していたので検査の持ち込み件数が少なかった。
だから別にこれは安心できる状況ではないですよと。
この13という数字は・・・」
同番組は、2019年度に4年連続で民放ではトップの視聴率を獲得したほか、NHKの番組の視聴率も超えたことが発表されたばかりだ。
実はこのグラフに着目して同時間帯の番組を比較して視聴してみると意外なことがわかる。
3月31日のTBS『グッとラック!』はこの東京都の感染者推移のグラフをいっさい出していない。
同番組がスタジオで出したグラフは「178の国と地域で感染者が77万5306人。死者が3万7083人」という大きな数字だ。
だが、視聴者としての立場で見てみると、大きな数字がどれほど数が多くても実感がわかないというのが正直なところだ。
はっきり言えば、TBS『グッとラック!』は数字の扱い方が下手なのだ。
他の番組を見てみよう。
フジテレビ『とくダネ!』
この番組ではこの東京都の患者数の推移グラフを登場させている。
ただし1度だけでVTRの中に入れたCGという形での登場だ。
テレ朝『モーニングショー』で羽鳥キャスターらが繰りかえし、指を指して強調したような
「人間のぬくみ感」がない。
一方的に流れていく中の一つの断片的な情報伝達に過ぎない。
これでは見ている側が危機意識を持てないし、視聴者の記憶にもとどまらない。
番組としてもどこが大事なポイントなのかわからず面白くはない。同番組の視聴率が低迷しているのはこのこと一つ見ても理由がわかる。
1度だけそれもCGで一瞬出てきた数字に危機意識を持てるものではない。
『とくダネ!』は視聴者にとっては不親切な報道をしている。
ちなみに『モーニングショー』で何回、このグラフを映し出したのか改めて数えてみた。
テレ朝『モーニングショー』では実に同じ日の放送で6回もこのグラフを映し出していた。
冒頭の画像にあるように羽鳥キャスターが指を差して説明した他、解説の岡田教授やコメンテーターの玉川徹氏など話に合わせて、このグラフの映像がそのつど映し出されていた。
視聴者からすれば、このグラフの右肩上がりこそが大変な問題だと分かる仕掛けになっていた。
日本テレビ『スッキリ』
この番組でも東京都の感染者数の推移グラフを登場させている。
フジ『とくダネ!』のようにVTRの中のCGで出したのに加えて、スタジオではMCの加藤浩次が手をかざして説明した。
さらに解説者として医師がこのグラフを解説し、一度、他のグラフに話が移った後で再び登場するなど、推移グラフへのこだわりは『モーニングショー』に似たものがあった。
東京の感染者数の推移グラフも『モーニングショー』に1日遅れて3月24日から連日放送している。
現在、平日の午前中の時間帯の視聴率競争はテレ朝『羽鳥慎一モーニングショー』と日テレ『スッキリ』の一騎打ちで日々トップを争っている。
「数字(データ)の扱い」にこだわっている
言い換えるなら数字(データ)を大事に扱っている
どちらもこうした共通点があったのだ。
そうした番組が視聴者の支持を得る。
当然といえば当然のことだ。
「テレビでは放送している東京都の感染者数の推移グラフ」を新聞紙面ではあまり掲載されないのはなぜか?
筆者はそのことがずっと気になっていた。
以下の画像は東京新聞の3月30日(月)の一面トップだ。
そこにある左側のグラフだ。
3月下旬になって連日過去最多を更新してきた。
「最多更新」と見出しがある。
東京新聞が「東京都の感染者数の推移」を示すグラフを紙面に掲載したのは
3月26日(木)の紙面が最初だ。
すでに述べたようにこのグラフは23日からテレビ番組(テレ朝『モーニングショー』)では放送されていた。24日には別のテレビ番組(日テレ『スッキリ』)も放送している
東京新聞の記事は、前日25日の夜に小池百合子知事が記者会見して「感染拡大の重大局面」と訴えたことを一面トップで伝えた記事だ。
以後、東京新聞はほぼ連日朝刊にこの「東京都の感染者数の推移」のグラフを掲載している。
ちなみにその前には3月23日に「世界の感染者数の推移を示すグラフ」を掲載しているのが感染者数の推移のグラフを扱った例だ。
他の新聞社はどうか。
朝日新聞は東京新聞と同じように3月26日(木)朝刊で掲載している。
二面にこの「東京の感染者数の推移」のグラフがあり、一面に掲載されているは「世界の感染者数の推移」のグラフだ。
東京よりも世界が一面というのはより広い視野で伝えたいという朝日新聞のグローバル重視の姿勢なのだろうか。
その後は3月27日(金)朝刊の二面にも掲載されている。
それ以前となると3月20日(金)朝刊の二面に「北海道の感染者数の推移」のグラフと「全国の感染者数の推移」のグラフが掲載されている。どうしてもグラフを載せるとなるとスペースをつかうことになるので、テレビのように連日、というわけにはいかないらしい。
だが、筆者はこのあたりが記事を読んでも「実感がわかない」という新聞メディアの限界を示しているような気がしてならない。
読者や視聴者は毎日同じグラフを見せられて、そのグラフが右肩上がりでグッと上昇したとき、初めて「これはまずいのでは?」と感じるものだ。
その意味では新聞社はどう記事を受けとめるのか、という研究がまだまだ足りないではないだろうか。
もちろん政治面、経済面、国際面、社会面など、それぞれが大事だと考えて記事をつくっているのはわかるが、新型コロナウィルスの感染拡大のように国民の命や健康を深刻な脅威については、現在のような縦割りの紙面づくりでは読者が本当に必要とするようなものとはいえない。
新型コロナウィルスで刻々と変化する情報をどのように国民に伝えていくのか。
それはそれぞれのメディアも問われている。
東京都は3月31日午後、新たに78人の感染者が判明したと発表した。
明日朝の新聞各紙はどう書くのだろうか。
また明日午前中の情報番組はそれぞれどんな報道をするのだろうか。
東京都の感染者数の推移のグラフをどのように扱うのか。
そこに注目すれば、情報を受けとる側にとって本当にやさしいメディアなのかどうかを見分けられるはずだ。
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March 31, 2020 at 04:28PM
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