新型コロナウイルスの検査で陽性反応が出たトランプ米大統領(74)は2日夕、ワシントン郊外のウォルター・リード陸軍病院に入院した。米ホワイトハウスによれば、トランプ氏は数日間入院し、病院内の執務室から執務を行う予定。これに先立ち、主治医は「トランプ氏は倦怠(けんたい)感があるものの、気力にあふれている」との声明を出した。ただ、ニューヨーク・タイムズによると、トランプ氏は微熱や鼻づまり、せきなどの症状があるという。
2日夕、マスクをしたトランプ氏はホワイトハウスを出て報道陣に無言で軽く手を振り、大統領専用ヘリ「マリーン・ワン」で病院に向かった。トランプ氏はツイッターに、「ウォルター・リード陸軍病院に向かう。私はとても元気だ」と語る映像を投稿した。
米ホワイトハウスによれば、トランプ氏は主治医らのアドバイスに従い、予防措置として入院する。主治医によれば、トランプ氏は米製薬大手リジェネロンが開発した抗体治療薬8グラムの投与を受けた。新型コロナウイルスの細胞への侵入を邪魔する2種類の抗体を混ぜたもので、軽度から中程度の患者の体内からウイルスを減らし、症状が改善するとの結果が9月29日に発表されたばかりだった。
米CNNが関係者の話として伝えたところでは、トランプ氏は2日朝から発熱した。症状は軽いというが、急きょホワイトハウスを出て入院することに容体への懸念が広がっている。
トランプ陣営は2日、トランプ氏が出席を予定していたイベントをバーチャルイベントにするか延期すると発表した。トランプ氏はウィスコンシン州やアリゾナ州などの激戦州を訪れ数千人規模の選挙集会を開催する計画だった。陣営はまた、トランプ氏の息子ら一族が出席する予定だったイベントも延期するという。
一方、民主党のバイデン前副大統領(77)の陣営は2日、バイデン氏が検査の結果、陰性だったと発表した。9月29日にオハイオ州で開かれた大統領候補者討論会でトランプ氏と同じ壇上に並んだだめ、検査の必要性が指摘されていた。
バイデン氏は2日、訪問先のミシガン州での演説で「これは政治の問題ではない」として、トランプ氏と同じく陽性反応が出たメラニア夫人の回復を祈っていると話した。また、参加者の人数などを考慮し、この日予定していた選挙関連の会合を中止することを明らかにした。(ワシントン=園田耕司、香取啓介、大島隆)
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