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Sunday, September 26, 2021

ワイドショーも総裁選でもちきり 取り上げる事情とは 今回は変化も - 朝日新聞デジタル

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 29日に投開票が迫る自民党総裁選。17日の告示前からテレビのワイドショーなども連日、4人の候補者を様々な角度から取り上げ、野党からは「自民党一色」と批判の声もあがる。なぜテレビは、こぞって総裁選を取り上げるのか。

「小泉フィーバー」時に入社した世代が

 24日昼、フジテレビの「バイキングMORE」は総裁選についてVTRやフリップで伝え、タレントらが30分ほど意見を交わした。芸能やニュース、生活情報などを幅広く伝える、各局のいわゆるワイドショーの中でもバラエティー色が強いとされる番組だが、たびたび総裁選を特集している。告示前日の16日には1時間半を割き、立候補を決めた一人がリモートで生出演し、にこやかにスタジオとやりとりした。

 日本テレビ、テレビ朝日、TBS、フジの民放キー局4局から、月~金曜の昼前後に放送しているワイドショー各1番組を選び、告示1週間前の10日から24日までの放送で総裁選を扱った日を調べたところ、4番組平均で期間中の約7割の日は総裁選を取り上げていた。

 時間は10分から1時間超など様々だったが、候補者のほか、出馬が取りざたされていた石破茂元幹事長が生出演することも。派閥の相関図をフリップで示したり、政治記者が解説したりと、各候補の服装のような軟らかい話題も交えながら、まとまった時間を割いた。

 なぜテレビはこんなに総裁選を取り上げるのか。コメンテーターとしても活躍する放送プロデューサー、デーブ・スペクターさんは「コンテンツとして非常にありがたいから」と話す。

 日々の動きを追いかけながら同じテーマを伝えるのは、平日の情報番組として扱いやすい。さらに、視聴者層と、総選挙で投票にいく層は重なっており、各候補が競う政策は生活に直結するため、視聴者の関心を呼びやすい。「特に今回は、例年の『出来レース』とはだいぶ違い、候補者4人に個性があっておもしろいですから」

 ある民放局の情報番組のプロデューサーも「誰が選ばれるのか結論がわからず、政治が動いているときはある種のエンターテインメント。制作側としては、こういうときには取り上げたくなる」と話す。

 小泉純一郎氏が「自民党をぶっ壊す」と宣言してフィーバーを巻き起こし、メディアを席巻した総裁選はちょうど20年前。いま情報番組の中核を担うのは、そのころに入社し「時と場合によって政治ショーは大化けする」と体感した世代だ。

政党間の総選挙よりも扱いやすい

 しかも今はコロナ禍で、マスクやワクチンなど政策が生活に直結することを実感しており、関心も高い。

 さらに総裁選は政治ショーとして取り上げやすい事情もある。このプロデューサーは「総選挙だと政党や候補者の主張を伝える時間を秒単位でまでそろえるよう気を使うが、党員・党友ではない多くの人が投票しない総裁選なら、ずっとやりやすい」と明かす。

 とはいえ、自民党の話題ばかりが連日取り上げられることに疑問の声もある。立憲民主党安住淳国会対策委員長は15日、「自民党一色。総裁選は重要な選挙だが、総選挙を控えている状況を全く理解していない」と述べ、個別の番組を「チェック」したうえで問題だと判断した場合は放送倫理・番組向上機構BPO)に申し立てる可能性にまで言及した。

 これ以前にも番組が野党の公約を数分間紹介する場面はあったものの、この発言以降、野党の主張が目立つようになった。

 TBS「ひるおび!」には総裁選告示日の17日、1時間以上にわたって立憲の江田憲司代表代行が生出演。24日のテレビ朝日羽鳥慎一モーニングショー」には野党4党のトップや代表代行がスタジオにそろって生出演し、コロナ対策や原発政策、消費税減税などについて総裁選4候補の主張と比べながら話した。(野城千穂、上田真由美)

総裁選テレビ報道の功罪と注目すべき変化

 自民党総裁選が連日テレビで報じられ、野党から批判の声が上がる。総裁選のテレビでの報じ方はどうあるべきなのか。逢坂巌・駒沢大准教授(政治コミュニケーション)は、放送局の役割を定めた放送法を補助線に、総裁選を巡る放送の意味や、今回の総裁選で見られた「変化」を指摘する。

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