4日夜に北京の国家体育場(通称「鳥の巣」)であった北京冬季五輪の開会式。最新鋭の技術を駆使した彩り豊かな演出に会場では歓声も上がったが、政治色の強い演出が目立ったのも事実だ。現場で取材する記者や海外メディアは、開会式をどう見たのか。(北京 桑村朋)
開会式は中国の著名な映画監督、張芸謀(チャン・イーモウ)氏が担当。「一つの世界、一つの家族」をテーマに青や白を基調とする落ち着いた冬らしい演出が多かった。一方で、聖火リレーの最終走者を中国代表選手のウイグル族が務めるなど、国際社会からの「人権問題」批判をかわす狙いも透けてみえた。
「中国による中国のための壮大な政治ショーに見えた」と話すのは、ドイツ紙「ターゲスツァイトゥング」(通称・タズ)のアンドレアス・リュテナウアー記者(54)。米欧などが「外交的ボイコット」を行った最大の理由が、中国当局による新疆ウイグル自治区での人権弾圧だ。聖火の最終走者にウイグル族を起用したことについては「ばかげている」と切り捨てた。
式では、中国の全56の民族が中国国旗を運ぶシーンもあった。「平和の祭典」や「民族融和」をPRする狙いだったとみられるが、リュテナウアー記者は「中国が世界に見せたいものを詰め込んだ内容だ。『一つの世界』というようなテーマを感じ取ることはできなかった」と振り返った。
他方、中国メディアの女性記者は「2008年の夏季五輪よりシンプルだったが、中国人として誇らしかった」と満足げ。参加国・地域の名前が書かれた「雪の結晶」が一つになった場面は「仲違いする国同士も仲良くなったようで感動した」とほほ笑んだ。
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世界各地から集まったメディアも開会式の模様を一斉に報じた。やはり目についたのは、ウイグル族が聖火の最終走者だったことへの否定的な論調だ。
「挑発的な選択」と書いたのは米紙ニューヨーク・タイムズ。複数の関連記事を掲載し、最終走者の選択は「偽善的だ」とする有識者の意見も紹介した。米紙USAトゥデーはこの一件が「大会に影を落とす恐れがある」と指摘した。
英紙ガーディアンは、大会スローガンの「共に未来へ」とは対照的に、今回の五輪は「争いの中の大会」だと伝えた。
一方、英BBC放送は各国から多くの首脳が出席した08年夏季大会に比べて「より小さく静かで控えめだった」とした上で、式そのものは「とても美しいものだった」と評価した。
からの記事と詳細 ( 五輪開会式、海外メディア「中国のための政治ショー」 ウイグル族の最終走者起用にも批判 - 産経ニュース )
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