「これはすごいスクープでは!?」
筆者は思わず耳を疑った。
4月28日(火)のテレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』でコメンテーターの玉川徹が爆弾発言を行った。
テレビ番組が放送した以上は確認した上での事実なのだろうが、本当に事実であるとすれば、テレビニュースであればトップ項目、新聞ならは一面トップ記事に相当するようなスクープである。
だが、他の新聞やテレビではそうした扱いは見当たらない。
それを玉川徹は番組進行中のコメントでさらりと述べた。
東京都がきのう発表した新たな感染者の数のグラフだ。
2日前まで100人を超える日々が10日以上も続いていた東京での新たな感染者が、おととい、72人、きのう、39人と減っていることが伝えられた。50人を下回ったのは先月30日以来だという。
番組では、土日はPCR検査数そのものが減ってしまうことで感染者がいたとしてもその間は確認できないという、山梨大学学長の発信を前の日に紹介し、諸外国と比べても「途上国並み」といえる日本の医療検査体制の現状を変えるべきだ、と玉川らが警鐘を鳴らしていた。
けさの玉川の発言だ。
(玉川徹)
「番組のスタッフが確認しているんですけど、
39という件数は全部これ民間の検査の件数なんです。実は」
筆者は思わず、耳を疑った。
PCR検査そのものはこれまで保健所や地方衛生研究所などの行政機関がその大半を担ってきた。
土日も人手をやりくりしながら、平日ほどではないにしても、行政機関もPCR検査を実施してきたはずだ。
それが前の日に発表された「39人」の感染者というのはすべて民間の検査によるものだという。
本当なのだろうか?
(玉川徹)
「土日は行政機関の、感染研とか、(保健所とか)そういうところですね。
土日はそういうところが休みになるので、
この39件というのは全部民間なんですって。
で、民間よりも、通常は平日であれば、行政検査の方が多いんですよ。
で、行政検査が土日休みになっちゃって、
結果として、民間で検査をしたものの中から、感染者が39例ということなんですね」
前述したようにテレビのニュース番組や新聞記事ならば、これだけを見出しにして「すべて民間機関の調査であることが判明」「行政だけで追い付かない検査の実態」などと、強調して伝えるところだ。
スタジオに出演していた岡田晴恵・白鴎大学教授(医学博士)も
「全部民間だというのは私も聞き及んではおりますけれども、(行政機関が検査を)やっていないかどうかは確証が持てない」
と発言していた。
だが、『モーニングショー』は情報番組であり、一度の放送の中にも情報がいろいろ雑多に詰まっている。
そのためにあまり目立たなかったが、玉川がここでコメントしたことはそれだけの意味のある「事実」だと思う。
番組が独自に調べた「スクープ」だ。「特報」。「独自」。そういう字幕をつけて放送してもいい。
ニュース番組であれば、この後の他社のテレビニュース、新聞社の夕刊、明日の朝刊などに「後追いニュース」にしてもおかしくはない。
玉川はコメントを続けた。
(玉川徹)
「そうなると、これ昨日も言ったんですけど
ゴールデンウィーク中はどうなるんだろうと。
ゴールデンウィーク、たぶん休みますよ。行政は。検査するところもね。
そうすると民間だけでいく。
民間がまだそんなに増えていないという段階だと、
これこの後、ゴールデンウィークに入っていくと
こういう30とかいう数字がズーッと続いていく可能性がありますよね」
一方で、この一連のグラフの「下がり調子の傾向」を評価することも大事だとコメントしつつも、これがどの程度、「見えない感染者」を反映しているのかはわからない以上、GW中は注意が必要だと指摘している。
(玉川徹)
「確かに100以上あったところが39まで減ったというのは、これはやっぱり自粛が効いているのだと僕も思っていますよ。
なんでかというと、検査を思い切り絞っているんだけど、絞っている基準事態が変わってないので、この『傾向』に関しては反映していると思うんですよ。『実数』ではないけれど『傾向』はね。
この『傾向』でこの後さらにゴールデンウィークに入っていくと、行政の検査が休むというのが続いていくと、民間の検査だけになるので、この数字がずっと続いていく可能性がある。
それで本当に大丈夫なのか?『ずっと下がってますよね。(緊急事態宣言)解除です』という話になったら大変だなと」
玉川が指摘したかったことは次のようなことだろう。
土日に行政機関が休みになる中で検査が十分な形で行われていなかったのに、それなりに感染者が増えていく「傾向」から転じて減少する「傾向」に方向に向かったようにグラフでは読み取れる。だが「実数」(たとえば39という数字)が本当に、本来必要な検査をすべて実施した結果なのかどうかなど、詳細はわからない。
これまで行政機関が独占的にPCR検査を担っていたなかで民間の検査が始まったばかりなので、数の上ではまだ少なく、限界があるはずだ。
民間による検査がどのような形で行われているのかわからない以上、仮にゴールデンウィーク中に自治体などから公表されるデータが少なかった場合、実数で実態を反映していない可能性がある。その数字を元に緊急事態宣言を解除するなどと判断したら、その後に致命的な感染爆発が起きてしまうのではないかと。
一方で、筆者は玉川が言及した「すべて民間」という点がひっかかっった。
民間しかPCR検査をしていなかったなら、行政機関はどうしたのだろうか?
作業が完全に停滞してしまった可能性があるのではないか?
そうすると、39件という数は民間による検査で分かった数、という反面で、行政機関が以前以上に機能不全に陥っている可能性があるのではないのか?
番組では東京23区の地図を色分けしたパネルで、東京都医師会の号令でつくられたPCRセンターの設置状況を説明した。
PCRセンターを「すでに設置」した区が10、「近く設置」が5、「設置するか検討中」が5、未回答が3である。
玉川はこの点についてコメントした。
(玉川徹)
「区によって全然色が違うわけです。色がね。
たとえば、中心部で言うと中央区だけ『設置するか検討中』の緑なわけです。
その周辺はすべて『すでに設置』になっている。
なんで中央区だけがいまだに検討しているのか、僕は分かりませんけれども、中央区に住んでいる人は、これからゴールデンウィークに入っていくときに、検査が貧弱な体制が続くのか?と。
で、たぶん、今は検査というのは基本的に自分が住んでいる自治体に縛られて検査をするんですよね。
もしくは職場(がある自治体)といったかな?
そうなると中央区に住んでいる人たちというのは他の区に比べて、ゴールデンウィーク中も検査を受けにくい状況がずっと続くということになります。いまだに『検討中』だから。
だったら、これは区をまたいで検査ができるような体制にしなきゃいけないんじゃないんですかね?」
玉川はPCR検査の実施について、行政や民間のあり方も含めて「提言」した。
筆者が玉川が指摘した事実が「スクープ」であり、新聞ならば「一面トップ」だなどと書いたのには理由がある。
新聞の報道、あるいはテレビでもニュースを中心にした従来の報道が、新型コロナに関して「限界」がはっきりと見えてきているからだ。
新聞も「社説」で、毎日、1つ、あるいは2つのテーマについて、記者が提言する。
それは新聞社を代表して行うことなのでどの社も二重三重にチェックした原稿が出る。それゆえ時間もかかり、タイムリー性を欠いてしまう。あるいは「記者の目」のような提言コラムであっても、それも日々、同じ記者が書けるわけではない。
テレビニュースでも記者が「提言」することはめったにない。それぞれの「番組キャスター」や「番組コメンテーター」「アンカーマン」と呼ばれる人が、ここぞ!とばかりにひと言、伝える。それもその局を代表するものでないとしながらも、社会に与える重みはそれに近いものになるため、どうしても大所高所の話が多くなり、あまり細かい問題にまでは立ち入らない。
それに比べて『モーニングショー』は、日々2時間近い長時間の放送の中で玉川らが繰り返し「提言」していく。
「あくまで個人的な見解」だとしながらも。
そうすると、結果的に新型コロナで日々新しい情報がほしい、私たちのニーズに合ったメディアは情報番組から、なかでも『モーニングショー』から、ということになっていく。
新聞社も、あるいはテレビでのニュース番組を担当する人たちはこの番組をよく見てほしい。
玉川が番組中に語った「39件、すべて民間の数字」というのはスクープで、独自で、番組が自ら調べた数字なのだ。
報道の人たちは、行政が発表する数字をそのまま伝えるのではなく、この番組のように「自ら調べる」という姿勢を示してほしいと思う。
そうした努力が新型コロナで倒れる人を少しでも減らすことにつながっていくはずだ。
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April 28, 2020 at 11:01AM
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『モーニングショー』玉川徹がスクープ報道!?東京の感染者が39人に減ったが「実はすべて民間の数字」(水島宏明) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
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